シナリオ・センター大阪校クリスマスわいわいパーティー
2017 大阪校5枚シナリオコンクール
最優秀賞
課題「スポットライト」
世界に一つだけのケーキ 作:渡邉初根(65期生)
松永琴音(9)小学3年生
松永千里(33)琴音の母
北村真結(9)琴音の同級生
○スーパー 店内(夕)
松永琴音(9)と北原真結(9)が製菓
材料コーナーへやってくる。
真結、アラザンをカゴに入れる。
琴音「何? それ。銀色のビーズみたい」
真結「アラザン。Xmasケーキの飾り付けにするんだ」
琴音「ふうん」
真結「ママと一緒に世界に一つだけのケーキ、手作りするの。
琴ちゃんも食べに来る?」
琴音「いいよ。うちも作るから」
琴音も、アラザンをカゴに入れる。
真結「あ、見て見て、おばさんサンタがいる」
ケラケラと笑い出す真結。
松永千里(33)がサンタの格好をして
Xmasケーキを客に勧めている。
琴音「お母さん……」
○松永家 居間 中(夜)
一人、テレビを見ている琴音。
千里「ただいま。Xmasケーキ買ってきたよ」
千里、ケーキの箱をテーブルに置く。半額シールが貼ってある。
琴音「いらない。そんな、どこにでもあるケーキの売れ残りなんて」
千里「そんな言い方しないの。さ、食べよ」
琴音「いらないってば」
琴音、テーブルからケーキを落とす。
琴音「真結ちゃんちなんか、世界に一つだけのケーキ、お母さんと手作りすんだよ」
泣き出す琴音。
千里「わかった」
千里、ケーキの箱を開け、崩れたケーキを、さらにフォークで崩す。
琴音「えっ」
千里、それをカップにぎゅっと詰め、カパッとケーキ皿にひっくり返す。
と、ショートケーキのようになっている。
琴音「えー! 何、これ」
千里「世界に一つだけの手作りケーキ」
琴音「もう、おかあさんったら」
琴音は泣き笑い。千里泣きそうになる。
琴音「あ、そうだ!」
琴音、アラザンを手提げ袋から出してきて、ケーキの上に散らす。
千里「あ、そうだ!」
千里、ストールを電気の傘にかぶせてケーキに光を集める。
アラザンが光って、ケーキが暗闇に浮かび上がる。
琴音、笑顔で食べ始める。