1970年にタイムスリップ 6

三島由紀夫と高倉 健

昨年(2024年)、没後10年で様々な企画が組まれた、日本を代表する映画スター・高倉健。今では性格俳優として知られる高倉だが、1970年代、彼はやくざ映画のヒーローだった。「日本残侠伝」「日本侠客伝」「網走番外地」の3大シリーズに主演している。

東京・深川を舞台に、素性を隠し板前となった高倉が、新興やくざの暴虐ぶりに堪忍袋の緒が切れて、同じ思いを抱く池部良と切り込みに向かう「昭和残侠伝・死んで貰います」(東映、監督:マキノ雅弘)が公開されたのは1970(昭和45)年9月22日だ。

2カ月後の11月25日、作家の三島由紀夫が東京・市ケ谷の自衛隊駐屯地で自決している。

その前月に行われた雑誌「映画芸術」(1971年2月号に掲載)の対談で、三島はこの映画について次のように評している。

「最後に池部と高倉が目と目を見交わして、何の言葉もなく、行くところなどをみると、胸がしめつけられてくる。キューッとなってくるんだ。日本文化の伝統をつたえるのは今ややくざ映画しかない」「ラストの道行きだけあればいいんだよ。あとはいらない」池部良については、「なんと言うか、自分の中に消えていく小さな火をそっと大切にしているような、あの淋しさと暗さが何ともいえない。わかっているという感じだ」と絶賛している。【参照:東映任侠映画傑作DVDコレクション7】byメイ

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