手塚治虫漫画選集8

三つ目がとおる

人類の歴史が始まる以前に高度の文明を築いた三つ目族。その血をひく少年が現代に現れて数々の古代史の謎を解き、事件を巻き起こす物語。3年8カ月にわたる147回の連載で38の短編が描かれた、『ブラック・ジャック』とともに手塚の熟年期を代表する作品である。

この作品には手塚のこれまでのヒーロー像とは異質の主人公・写楽保介が登場する。

「絶対的な正義の味方というキャラクターはあまりに窮屈だ」と考えた手塚は、限りなく純真な心と、邪悪で巨大な力と破壊力を持つ三つ目族の末裔・写楽を創造した。

写楽の母親は、幼い息子を犬持博士に預けた直後に落雷で絶命。博士は写楽を養子として育てる。成長するにつれて写楽の第三の目が大きくなり、不気味な力を見せ始めると博士は彼の目を絆創膏で封印する。

この絆創膏は剥がしにくく、潤滑剤として食用油が必要なほどだ。

一方、犬持博士の友人で考古学者の須武田博士は、写楽の力を利用して古代の謎を解明しようと何度も犬持博士と対立する。

額に大きな絆創膏を貼った写楽は、中学2年生には見えない幼稚さと無邪気さを持った少年に。彼は常に旧友のいじめの対象となるが、気丈夫な女子生徒「和登サン」こと和登千代子は、なぜか彼をかばってくれる。byメイ

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