パニック映画と防災3
大地震に挑む人々を描く『日本沈没』
小説のタイトルも同じで、ラストがネタバレしているのに、見てしまう日本人必見の映画が『日本沈没』 (1973年)だ。
監督は森谷司郎、藤岡 弘を始め当時の主要な映画俳優が総出演している。キャッチコピーは、<ほとばしる溶岩の血を流し咆哮する火山列島! 一億の民族をのせて、ああ日本が沈む!!>だ。
日本海溝で不気味な乱泥流が発生し、日本各地で火山噴火や地震など異変が続発。政府は秘密裏に深海調査のため<D計画>を発足させるが、調査結果を分析した地球物理学者の田所博士(小林桂樹)は日本沈没を予言する。そして関東地方に大規模な地震が発生、田所博士の危惧は現実となって日本政府に突きつけられる。やがて日本列島は未曽有の天変地異に見舞われていく。
SF作家・小松左京のベストセラー小説を映画化! 東宝特撮陣が挑んだ災害パニック大作だ。ロードショーの上映時間は144分となっている。
「科学者にとって一番大切なことはなにか?」と問われた田所博士は、「カン(感)です。1912年ドイツのヴェーゲナーという学者は、地図を見ていて大陸移動説を思いついた。認められず失意のうちに1937年亡くなるが、今では通説になっている」とためらわずに応える。地震の予知は難しい。「大阪を襲う南海トラフ大地震は、これから30年の間に80%の確率で発生する」とする政府の見解も信じても良いのではと思ってしまう。byメイ