「ひかりの続き」Y・Tさん 日A作家集団

日A作家集団に在籍。

2023年 「第44回BKラジオドラマ脚本賞」 最終選考選出

作品タイトル「ひかりの続き」

「ひかりの続き」ってどんな作品ですか?

作:事故で全身不随になった男が、何もできないことから自己嫌悪に陥りつつも、元妻や担当医師との関わりの中で、忘れかけていた大切なことを思い出す――。そんな作品です。

イ:ラジオドラマを活かして、心の中を描いたのはアイデアですね。音声ガイドを使ってのラストは感動ですが、これはどうやって浮かんだのでしょう?まさか、ご自分の体験とか?

作:自身の体験では・・・ないです。主人公を決めた時に、いろいろと資料や体験談を調べていって辿り着いた感じです。会話は出来なくなっても想いは伝わる。そこをもっと掘り下げて、作っていった感じです。

イ:取材はかなりやりこむ方でしょうか?

作:作品によって変わります。今回はデリケートな問題を扱ってますし、しっかりと取材した方ですね。知人の医師にインタビューしたり、原稿を見せてアドバイスをもらったりもしています。

イ:アイデアっていつもどうやって集めてますか?何している時が多いでしょうか?

作:音楽を聴いているうちに、歌詞や曲の雰囲気から浮かぶことが多いです。ジャンルでいうとポップスが好きです。洋楽も聞きますが、星野源さんとか、日本語を大事にしているアーティストの曲が好きですね。今回もマッチしたとあるアーティストの曲があって、作品のイメージを膨らませた部分もあります。

今回の作品を書こうと思ったきっかけは?

作:数年前、私自身、とある病気を患い思うように生活ができなくなったことがあります。その時の私は、動くことも話すこともできたのだけれど、それでも、それまでできていたことができないと言う事実に焦りと悔しさを感じていたことは今でも忘れられません。

「動けなくなる」「しゃべれなくなる」だけど意識ははっきりとある。そう言った病気の人々に目を向けるようになったのはその頃からです。本当のところは本人にしかわからないし想像を絶する感情であるし、私にできることなんてほぼ無いに等しいと思っています。

ただ、「思うように生きれない」と言う一点においては、今の現代に生きる多くの人が抱えている問題なのではないかと思うのです。そう言った人達にとって、少しでも生きる希望になれば。そう思い、この作品を書くことにしました。

イ:すごく思いのこもったラストシーンでした。作品の強さって、思いの強さなんだなと改めて感じました。この強さってどこからきているんでしょう?(今回の作品に限らずという意味で)

作:そうですね、売れっ子の方なんかが、登場人物たちは自分とは全く違う人物だというのを聞くんですけど。私の書く作品は自分の中にしかないです。できなかったり、悔しかったりした思い。そういう部分を原動力にしている。嫌なことを糧にしています。

作品を書く時のこだわりってありますか?

作: まずは「テーマ(伝えたいこと)」をはっきりさせることです。そこをしっかりと決めた上で人物の背景やストーリーを作り上げていくようにしています。で、仕上がった後に再びテーマとストーリーの整合性が取れているかも念入りに推敲します。そこがぶれていると、どうしても自分の納得いく作品にはならないなと感じています。

あと、最初からテーマがはっきりしていると、そんなに頭を捻らせなくても、自然と登場人物達の言動は引き出されていくとも感じるので、テーマは、現状一番大事にしていることです。

イ:今回も伝えたいメッセージがはっきりと出ていましたね。テーマっていきつくまでが大変じゃないですか。スランプになる時もあると思いますが、そんなときはどうしてます?

作:スランプなんてないって言いたいですが、作品によってはテーマが出ないこともあります。そんなときは、電車とかで人を観察したり、会話を聞いたりして広げていきます。

最後まで書きたいけど、書けなかった作品もあります。無理だなと思う時もあって・・・思いが強すぎるのかもしれません。

どんな作家になりたいですか?

作:たった一人でもいいから、その人の心を突き動かせるような(目標に向かって突っ走ってもらえるような)作品が書きたいです。で、好きになってもらえたら、その人の中でどんどん大きく長く好きになってもらえる作家になりたいです。

と、まあ、それが大人数であればもちろん嬉しいですが(笑)

イ:自分が書く作品の中で、一貫しているものって何かありますか? 

作:一貫してですか・・・泥臭い部分はあります。いい意味で情熱的とも言えます。最近よく見かける作品の傾向としては、ちょっと斜に構えたニュアンスのものが多い気がするので、直球は好まれないかもですが。

イ:最後にこれからの抱負を決めセリフでお願いします。

作:自分が弱点だと感じている「泥臭さ」を味方に付け、伝えたいことを書き続けます。そして、そんな泥臭い作品で、今年こそコンクール受賞する!ぞ!うおおおおおおお!

イ:メチャメチャかっこいいですよ。

ところで、ミュージシャンって聞いたんですが。本当ですか?

作:30歳から脚本を書き始めるまでは、10数年間ミュージシャンとして活動してきました。そのミュージシャン人生で培われたことが、今、脚本にも活かされていると感じます。

イ:なるほど。ジャンルや担当されていたパートは?

イ:お言葉に甘えて。ミュージシャンとありますが、ジャンルや担当されていたのは?

作:ドラマ好きのドラマーでした(笑) リズム感はいいですよ。ドラム&ボーカルしてた時期もありました。ポップスやロックが中心ですが、若い頃はスカパンクやスカポップ、もう少し大人になってからはファンクとかヒップホップに近い曲もやってましたね。お客さんに乗ってもらえるのが好きです。

イ:作詞作曲もしていた? (yesなら)だったら台本から歌までいけるんじゃないですか?

作:してましたね・・・作詞はいけますが、作曲はちょっとセンスが・・・

イ:子供のころから音楽をやってた感じでしょうか?

作:はい。子供の頃バレエを習っていました。それと、兄が二人いるのでその影響は大きかったですね。お下がりのCDや小説なんかに影響受けていたんだと思います。

イ:もう一度生まれ変われるとしたら、ミュージシャン? それとも脚本家?

作:えー、難しいなぁ。生まれ変われるなら、ダンサーか女優になりたいかな。子供の頃は、SPEED(沖縄出身のアイドル)に憧れてて。演技も好きだったんです。中学の頃に舞台をやったりしてました。

イ:本当に多才ですね。今日はいろいろと楽しいお話、ありがとうございました。

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