パニック映画と防災2

台風に挑む人々を描く『風速七十五米』

日本映画の中から、年代順にパニック映画を見てみよう。

まずは、『風速七十五米』 (1963年)。 監督は、田中重雄で田宮二郎と宇津井健が主演している。
<想像を絶する大台風来る! 大自然の猛威に激突する男の斗魂! 男の激情>が当時のキャッチコピーだ。

台風記者と異名をとる毎朝新聞社社会部記者・田村(宇津井健)は、東海地方の台風取材により自然の猛威を体験し、東京の心臓部・銀座に巨大なネオン広告塔が林立する様に有事の際の危機を抱く。一方、青年実業家で田村の旧友・木谷(田宮二郎)は東洋一の大ネオン塔建設に絡む建設業者の抗争に巻き込まれるが、そこに風速75メートル(注:現在秒速54m以上は「猛烈な台風」と定義されている)に及ぶ超弩級台風が直撃する。東京に襲来する巨大台風を大映が迫力の特撮映像で描写した大スペクタクルアクションドラマだ。

ラストの田村記者のモノローグが心に残る。「台風は天災じゃあない。むしろ人災だ。常に(被害を)防ぐ対策がなければならない」上映時間が88分とやや短いのには物足りなさが残るが、当時映画館では2本立て興行だったためのようだ。

高層ビルの上のネオン広告塔が問題視された作品だが、東京では1958年に東京タワーが竣工していて、その後もビルの高層化は日本の高度経済成長とともに進んでいった。byメイ

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