「八百八橋にはドラマがある!」その21

~商人の町大阪にはこんな素敵な場所がいっぱい~

【京都番外編】八坂神社のために寄進で作られた四条大橋。

京都の鴨川にかかる四条大橋は、まさに京都のど真ん中と言えます。四条通を東へ歩いて行くと、祇園や八坂神社があります。先斗町や河原町なども四条から鴨川沿いを歩いていける範囲にあります。また五条通から鴨川を渡る大きな車道としてつながっていて、京都の交通の要衝でもあるのです。

 橋の成り立ちも八坂神社などによる勧進によって民衆の力で作られたという歴史があります。長らく都であった京都ですが、平安末期には政治機能が武士に移っていき大きな土木工事が期待できなくなっていました。そこで民衆たちは自分たちの力で橋を作るしかなくなっていました。当時は小さな橋でしたが、江戸時代になって公儀の管理下へと移されていったのです。

四条大橋

季節を彩る四条大橋

四条大橋から鴨川を眺めると、京都の名物である「鴨川等間隔の法則」が見られます。何故か恋人たちが等間隔で座るという不思議な光景が広がります。また暑さが増してくる5月から9月にかけては、鴨川の西隣にあるみそそぎ川に「鴨川納涼床」が高床でしつらえられて、夏の風物詩としてにぎわいます。

「吉例顔見世興行」で有名な南座も四条大橋の東詰南側にあって、師走の京都の厳しい冬を盛り上げます。また反対の北側には歌舞伎の祖と言われる出雲阿国像が見守るように立っています。西側には大正時代からある東華菜館があって、魚介類など細部のレリーフに凝った近代建築の建物も残されています。四条を見れば京都の季節が分かると言えるかもしれません。

出雲阿国像

京都人の夜景色

文学者や画家に愛された町・京都。ここにはたくさんの作品が残されています。なかでも京都で育ち、若くして小説や詩、異色の絵画などを描いた村山槐多は京都に育てられた芸術家の一人でしょう。肺結核で22歳で没した彼が四条大橋を読んだ誌が残されています。

ほんまに綺麗えな、きらきらしてまぶしい
灯がとぼる、アーク燈も電気も提灯も
ホイツスラーの薄ら明かりに
あては立つて居る四条大橋
じつと北を見つめながら

「京都人の夜景色」 村山塊多 作より抜粋
四条大橋の上

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