文楽を見よう8

名作紹介 曽根崎心中

2021年、シナリオ・センター大阪校が創立45周年を迎えた。その記念に、近松門左衛門作の人形浄瑠璃「曽根崎心中」をベースに、20人のライターたちが「令和御堂筋線心中」と題してリレーシナリオ企画に挑戦した。

そのオリジナル、醤油屋平野屋の手代・徳兵衛と蜆川新地天満屋の遊女・お初との心中事件が題材になった「曽根崎心中」とは、こんな物語だ。

徳兵衛は、平野屋主人の叔父から縁談話をもちかけられるが、恋仲のお初がいることから、縁談を断る。ところが徳兵衛の継母が勝手に縁談を受け入れ、金まで受け取ってしまう。金を取り返した徳兵衛だが、返済期日まで間があったこともあり、困っている友人の九平次に金を貸し、まんまと騙し取られてしまう。叔父からは大坂追放を告げられて、男の面目を失った徳兵衛は、お初と共に曽根崎天神の森に向かい心中を遂げる。

人形浄瑠璃の題材が「時代物」ばかりだった頃、新たな現代劇として描かれた「世話物」の第一作が、近松門左衛門の「曽根崎心中」だ。

元禄16年の初演で大当たりした作品だが、その後、心中物禁止令などの影響で上演が絶えて、現在の形で復活するのは、昭和30年になってからだ。大阪のメロドラマの原点がここにある。byメイ

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