文楽を見よう6

見台・床本・裃

太夫が床本を置く台が『見台』だ。熱演で出る汗を拭う布なども置いている。天板以外は分解できて、下についている箱部分に収納できるようになっている。太夫所有のもので、漆塗りや蒔絵など装飾を施した豪華なものもあり、演目により使い分けられる。例えば、ライトを浴びると白さが冴える白木の見台は、時代物の切腹などの場面で使われることが多い。

太夫が浄瑠璃を語るときに使われる台本が、『床本』だ。舞台の床で見る本という意味で命名された。こうぞ紙でできていて縦約28センチ、横約21センチの和綴じ本で、独特の太い文字で書かれている。文字の右横に朱書きでイントネーションや曲節の名が記されている。太夫の声の出し方には、チュウ、ウキ、ハルの別があって、例えばチュウとあれば、どっしりとした低い音域での声の出し方をいう。三味線では一の糸や二の糸の音域だ。

太夫と三味線弾きの正装となるのが『裃』だ。肩衣、袴、座布団は太夫が三味線弾きの分も用意するのがならいだ。演目に応じて柄合わせするが、太夫のセンスの見せ所だ。冬は黒紋付、夏は白麻紋付に合わせる。なかには、英国OZBORNE&LITTLE社のシルクオーガンジーを日本で肩衣に仕立てた太夫もいる。byメイ

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