ホラー映画大解剖 その2
ホラー映画のモンスター
ホラー映画にはモンスターがつきものです。
エイリアン、ブギーマン、ヴァンパイア、巨大クモなどおなじみのモンスターに、「トレマーズ」(1990年、監督:ロン・アンダーウッド)のグラボイズや「遊星からの物体X」(1982年、監督:ジョン・カーペンター)の外来生命体や「ミスト」(2007年、監督:フランク・ダラボン)の巨大怪物など、観客が見たことのないモンスターが続々登場しています。中には「U.M.A.レイク・プラシッド」(1999年、監督:スティーヴ・マイナー)に登場する血に飢えたワニのように、身近な脅威が描かれているものもあります。
大抵のモンスターは、噛む、殴る、切りつけるなどして、人々に身体的危害を加えます。
一方で、感染や病気を媒介するケースもあります。ゾンビの犠牲者が感染してゾンビになるなどがそれです。
他には、心理的・感情的な危害を加えるモンスターもいます。「悪魔の棲む家」(1979年、監督:スチュアート・ローゼンバーグ)の家に取り憑いた悪魔は、人を騙してパラノイアに追い込みます。また、「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年、監督:ロマン・ポランスキー)のガイのように友達や家族が、主人公に現実を疑うように仕向けるややこしい恐怖もあります。
モンスターの攻撃から生き残るため人類は、コミュニティの形成と道具の発明で対抗して来ました。決して仲間から離れないこと。モンスターが現れたら手当たり次第に何かを掴んで反撃すること。これがホラー映画における基本的ザバイバル・ルールです。(宙)
〈参考文献〉 高橋和久, 永富友海(2025).「英国」小説の手ざわり. Gakken
