「八百八橋にはドラマがある!」その26

~商人の町大阪にはこんな素敵な場所がいっぱい~

【京都番外編】産業を支えた小さなもっこ橋

京都の白川は左京区と東山区を流れている小さな川で、源流は比叡山と如意ケ嶽とされています。琵琶湖疎水とも合流したりしながら、平安神宮の近くで鴨川に注いでいきます。その白川の下流にぽつんとかかる鉄製の一本橋が「もっこ橋」です。これも通称であり、実は名前もない橋なのです。

しかし、この橋は京都の産業を支えた縁の下の力持ちでもありました。明治時代にはこの近くに製氷工場があって、そこで使うおが屑を運んだもっこ(土砂などを運ぶ農具)でこの橋を渡ったのが名前の由来になっています。昭和五十年代まで稼働していた製氷工場を小さなもっこと橋が支えていたのです。

もっこ橋

白川と柳と小さな橋

もっこ橋がかかる白川を歩くと、小さな川沿いにたくさんの柳の木があります。風が吹くと葉が揺れて、昔ながらの掘割のような雰囲気が感じられます。祇園の街並みと共に昔の京都が感じることが出来る場所になっています。また近くには大きな桜の木もあり、春の桜シーズンになると京都市民だけでなく、観光客からも人気の橋なのです。地元では「白川桜小橋」という通称でも呼ばれています。

昔の白川には上流の疎水の水力を利用した水車がたくさんあったそうですが、今ではその面影もなくなってしまいました。また、近年はこの橋も老朽化が進んで、保存を求める声が人々からはあがっています。いつまでも白川と共にあってほしいですね。

映画にも登場するもっこ橋

小さな名もない「もっこ橋」ですが、映画「僕は明日、昨日の君とデートする」のシーンには堂々と登場しています。主人公たちが京都の動物園から歩いていくシーンでしっかりと背景にも映っております。意外とやる時は自己主張できる橋なんです。

 ここまではっきりとは映らなくても、京都舞台のドラマも多いので白川付近の撮影ではけっこう登場する場所です。白川は隠れた聖地ですね。

平安神宮や動物園から続く白川の道

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