愛玩動物看護師ってなに? 4
余話、天才外科医「ブラック・ジャック」が動物を救う
無免許の天才外科医が狂言回しとなり、患者にまつわる人間ドラマが展開される故・手塚治虫の名作漫画「ブラック・ジャック」(全243話)。彼は、動物を救う名医でもある。
第2話「海のストレンジャー」では、船上で、人間の患者と重症のイルカを並べて平等に診察している。
第90話「シャチの詩」では、海辺の丘の上に診療所を開設した当時の話として、入り江で傷ついたシャチを助け、シャチもブラック・ジャックを慕うというつかの間の友情が描かれている。
第98話「犬のささやき」では恋人を事故で失った男のために、愛犬にブラック・ジャックが彼女の音声テープ(マイクロチップ)をのどに仕込む。
なかでも第242話「オペの順番」は秀逸だ。自然が残る西表島。そこに自然破壊で開発を企む代議士や、イリオモテヤマネコ(天然記念物)の密猟にハンターたちがやって来る。彼らは、遊覧船でブラック・ジャックと乗り合わせる。船内で逃げ出したイリオモテヤマネコが赤ん坊にけがをさせ、ハンターが猟銃を乱射させて、代議士が傷つく。赤ん坊、イリオモテヤマネコ、代議士を前に、ブラック・ジャックは、傷の重い、イリオモテヤマネコ、赤ん坊、代議士の順で手術を行う。
手塚治虫は著書「ガラスの地球を救え」で『人間には自然界の生き物を勝手に裁く権利などありません。あらゆる人間の住みやすい社会とは、すべての生物の生きやすい世界へとつながっているはずです』と述べている。byメイ