「八百八橋にはドラマがある!」その25
~商人の町大阪にはこんな素敵な場所がいっぱい~
【京都番外編】行者橋、いろんな名前で出ています。
京都の白川に架かる行者橋があります。正しい名前は古川町橋です。他には阿闍梨橋や一本橋、たぶき橋などの複数の呼び名も持っている小さな橋です。あまりに小さすぎて自転車も渡れない、人道橋として存在しています。番外ながら日本百名橋にも選ばれた由緒ある橋なのですが、橋というにはいささか頼りない大きさの橋(写真参照)です。橋板(橋桁)は石の板2枚を左右一組とし、対岸まで縦に4つ並べただけという簡素なもの。一本橋という謂れはここからきています。
橋の成り立ちも詳細は不明のままです。江戸時代の文献には「一本橋」として記載されていますから、当時は名もない橋の一つだった可能性が高いのかもしれません。祇園を流れる小さな白川にかかる橋ですから、生活のために架けられていたとも考えられます。
比叡山と行者橋
行者橋と言われる理由は、この一本橋が千日回峰行を達成した比叡山の行者(修験者)たちが元三大師に満行を報告するために白装束を着て渡ったとされているからです。そのため平安時代には既にこの地に架かっていたとも言われいます。また一本橋は江戸時代には粟田神社の祭礼・粟田祭の際、剣鉾を差して渡る曲渡りや曲差しが呼び物だったともされています。
また祇園祭の時には稚児が、先の粟田神社の祭りのときは氏子たちが渡るなど京都の文化とも深い縁で結ばれた橋なのです。阿闍梨(高僧)橋とも呼ばれているので、仏教と深いかかわりがあったともいえる橋なのです。
京都地検の女 おみやさん そして相棒にも
行者橋は京都でも有名な場所のため、ドラマや映画でもよく登場しています。なかでも愛されているのがサスペンスドラマ。京都を舞台にした「京都地検の女」や小説家の山村美紗さんの「おみやさん」シリーズにもしっかりと登場しています。
そして、ロングセラードラマの「相棒」にも登場しているのです。名だたる名優たちが共演したこの橋は、近いうちにきっとまた顔を見せてくれるかもしれませんね。