手塚治虫漫画選集13

ジャングル大帝

ジャングルを統治する白いライオンの父子、パンジャ・レオ・ルネの3代の物語。大自然と生き物との絶えることのない闘争と、征服と挫折を描いた歴史ドラマ。

ドイツの気象・地球物理学者・ウェゲナーが発表した「大陸移動説」に関心を抱いた手塚は、幻の高峰・ムーン山が宿す地球創造の謎を考察。学説を裏付ける「月光石」をめぐるA国、B国の対立を描いた。そのため、主役級の登場人物が40人近くも出てくる壮大な群像劇でもある。

手塚の「精魂込めたライフワーク」的作品で、関西で赤本マンガの売れっ子作家だった手塚が東京の雑誌界への進出を果たした記念碑的作品でもある。

手塚は執筆にあたってアフリカの動植物を調べるため、1年余り大阪府立中之島図書館に通い詰めた。

彼が短いページ数での慣れない雑誌連載という制約下で壮大なテーマを描ききったことは偉業というほかない。

本作は連載後、単行本が出版されるたびに手塚の手で改稿されたため複数の物語が存在する。

現在残されている決定稿では文明と野生の相克という当初の群像劇から、レオの精神的な成長に重点が置かれた構成になっている。

主人公・レオは人間社会で文明を体験してジャングルに戻り、ユートピアを築こうとする。byメイ

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