野球マンガと甲子園9
野球マンガの第一人者・水島新司
「ドカベン」シリーズ、「あぶさん」、「野球狂の詩」、「男どアホウ甲子園」「球道くん」をはじめ多数の野球マンガを描いた水島は、人生の機微を描いた人情マンガも得意とする漫画家でもあった。
新潟県生まれの水島だが、少年時代に漫画家になることを決意し、18歳の時に大阪の出版社「日の丸文庫」が発刊する貸本マンガ雑誌「影」の第1回新人杯に応募する。その時の作品「深夜の客」が二席で入賞し、同誌第17集に掲載され漫画家デビューを飾ることに。それを機に活動の場を大阪に移し、推理もの、コメディ、人情マンガを多数執筆するようになる。
その後、1964年に上京した水島は、以後、野球マンガを中心に少年誌、青年誌を席捲する。最多忙時は、週刊、月刊含めた同時6誌連載の仕事量を誇ったという。水島は、それまで荒唐無稽なものが多かった野球マンガにリアルなプレーや戦略を持ち込んだ初の漫画家であり、異なる作品のキャラクターを同一作品上に集結、活躍させるコンバートシステムを確立した。
『ドカベン』や『一球さん』や『球道くん』など独立した長編マンガとして描かれた作品の主人公が、甲子園球場で優勝を競う『大甲子園』は後の漫画界に大きな影響を与えた。byメイ