文楽を見よう1

文楽に恋して

 人間の本性を赤裸々に描いた『文楽』は、江戸時代から続く伝統芸能であり、現代にも通じるエンタテインメントだ。文楽の舞台は、義太夫節でストーリーを語る「太夫」と、三味線で音響を奏でる「三味線弾き」と、主役を演じる文楽人形を操る「人形遣い」のコンビネーション(=「三業」)によって構成される。

 文楽の面白さを知るには、実際の舞台を見ることだ。「文楽人形がチョーかわいい」、「太夫がイケメンジャン」、「譜面なしで三味線を弾くなんて信じられない」、そんな想いで文楽に恋したらどうだろうか。そのさきに、人に恋すると同様に、文楽との決定的な出会いが待っている。

 シナリオライターなら、映画から文楽の世界に入るのもよい。キネマ旬報邦画ベストワンを獲得した『心中天網島』(1969年作品・監督:篠田正浩)や、『曽根崎心中』(1978年作品・監督:増村保造)、極めつけは、文楽人形を現実の神社や森の中で操り撮影した『曽根崎心中』(1981年作品・監督:栗崎碧)などの作品に感動して「文楽」を「文」字通り「楽」しむのもよい。文楽の演目には、大別して「時代物」と「世話物」がある。

 現代にも通じる、男女の恋や義理のしがらみを描いた世話物から、文楽の旅を始めてはどうだろうか。byメイ

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