「八百八橋にはドラマがある!」その23

~商人の町大阪にはこんな素敵な場所がいっぱい~

【京都番外編】異界の一条戻り橋

一条戻り橋と言えば、一条通にある堀川にかかる本当に小さな橋です。しかし、ある意味で京都では恐れられている場所になります。それはあの世とこの世をつなぐ、異界につながる橋という伝説が数多くあるからなのです。

平安京がつくられた時代から一条戻り橋は存在します。魔のものが出入りするとされる鬼門(都から見て北東)に当たる位置に存在していました。都で死者が出た場合などはここから運び出されていたため、あの世へと渡る橋として人々から避けられる存在になっていったのです。元は土御門橋という名前でしたがあるエピソードがあって変更されました。修験者が父の危篤を聞いて駆けつけた時、この橋の上で父に再会したそうです。以来、戻り橋と言われるようになったとも言われています。

一条戻り橋

戻り橋と晴明神社

魔界の入り口とも言われた一条戻り橋ですが、京都と言えば陰陽師である安倍晴明も有名です。実はこの二つは互いに縁が深い関係でもあります。晴明のライバルであった芦屋道満が父・保名を殺したのがこの一条戻り橋なのです。駆けつけた晴明が術によって父を蘇生させるシーンは歌舞伎の作品としても取りあげられています。

安倍晴明を奉ったとされる晴明神社は現在も一条戻り橋の近くにあります。晴明は式神として鬼を使っていたそうですが、妻が鬼を嫌ったために普段は一条戻り橋の下に住まわせていたなどの伝説も残されています。境内にはかつての戻り橋の一部も模されています。晴明は普段から戻り橋を使っていたんでしょうね。

安倍晴明を奉った晴明神社は一条戻り橋の近くにあります。晴明は式神として鬼を使っていたそうですが、妻が鬼を嫌ったために普段は一条戻り橋の下に住まわせていたなどの伝説も残されています。

晴明神社

渡辺綱の伝説と源氏物語

怪奇なエピソードに事欠かない戻り橋ですが、一番有名なのは源頼光の四天王である渡辺綱が鬼女と戦ったという伝説かもしれません。その伝説をもとにした映画「戻橋」は、マキノ正監督による初のトーキー映画として作成されました。

また「源氏物語」では正妻である葵の上と恋人の六条御息所の二人が、どちらの車が道を開けるかを争った車争いをした場所としても登場しています。後に六条御息所が亡くなったのはこの時の争いが祟った一因ともされています。重ね重ね、ミステリアスな伝説が残る橋として今でも残っているのです。

晴明神社にある一条戻り橋

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