「八百八橋にはドラマがある!」その15
~商人の町大阪にはこんな素敵な場所がいっぱい~
豪商が架けた淀屋橋
諸説はあるものの、淀屋橋は江戸時代前期の豪商である淀屋が架けたとされています。元は材木商であった淀屋ですが、大阪の陣で徳川幕府の信頼を得て、特権を握ると中之島の開発にも参加していきます。天下の台所と呼ばれたように、水運に優れた大阪には諸藩の米や特産物の物流拠点でいろいろなものが集まります。大きな商いをするようになった淀屋は諸藩にお金を融通し、財政を握る商人へと成長していきます。
中之島には倉屋敷が立ち並び、淀屋だけでなく豪商たちの屋敷も多くありました。交通の便を図ろうと北浜の米市場と中之島を結ぶ淀屋橋を建てたとしても不思議ではありませんね。
米相場市から金融街へ
豪商の淀屋が店の前で米相場市を開いていたという屋敷は、淀屋橋から東は心斎橋、西は肥後橋まであったというのですからかなりの大きさだったと分かります。現在の淀屋橋には大阪市役所と日銀の大阪支店があり、南側には地下鉄の御堂筋線が走っています。多くの銀行も立ち並び、北浜の証券金融街に呼応した商業経済地域へと変化しています。米から金融へと変わっても、大阪の中心街として発展を続けているのです。
橋梁美に見る実用性
国の重要文化財として指定されている淀屋橋には、都市景観の美しさと、橋としての安全性を裏付けする技術が求められる。日常の人々の移動手段として安全を保ちながらも、景観を満足させる二つの基準が求められました。特に関東大震災で多くの橋が崩壊した経験から、鉄筋コンクリート造りでありながら表面には花崗岩をしつらえて美しさを出す。高欄や照明塔、バルコニーに意匠を凝らすなどが求められたのです。
ロケ地としては、明石家さんまさん主演の「ハタチの恋人」で、通勤風景として淀屋橋が登場しています。大阪の支社で働くという設定なので、ここが選ばれたんでしょうね。