文楽を見よう9

名作紹介 生写朝顔話

題名は、「しょううつしあさがおばなし」と読む。本来は「お家騒動」を扱った時代物だが、現在上演されるのはメロドラマの王道「すれ違い」が織りなす男女の悲恋の物語の部分だ。ただし、ハッピーエンドが用意されているあたり、名作というよりエンターテイメント作品と呼ぶ方がふさわしい。

初演は、天保三年(1832年)の大坂竹本木々太夫座での公演だ。

宮城阿曾次郎は、蛍狩りに出かけた宇治川で出会った深雪に一目ぼれする。二人は契りを結ぶが、阿曾次郎に国許から火急の知らせが入り、再会を約しながら別れる。それからのふたりは、ニアミスですれ違いの繰り返しとなる。深雪は、父親から勧められた駒沢次郎左衛門(実は改名した阿曾次郎だが、深雪は知らない)との縁談を嫌って家出する。その後、深雪は流浪の末、盲目となるが、ひたすら次郎左衛門を追う。

見どころは、盲目となった深雪が朝顔という名で、次郎左衛門を前にして琴を弾いて歌を聞かせるシーンだ。文楽人形が琴を弾く指の動きと、床で三味線弾きが弾く三味線の撥さばきが重なり合う。三味線弾きと人形遣いの技量が際立つ見せ場がここにある。

「文楽っておもしろい」と感激するおすすめの作品だ。byメイ

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