文楽を見よう5
人形遣い
世界に類を見ない独創的な動きで、まるで生きているかのように豊かな表現力を持つ文楽人形を操る人形遣いの技(わざ)は、目を見張るばかりだ。
文楽人形は3人の人形遣いが操る。舞台下駄を履いた「主遣い(おもづかい)」が、首(かしら)と右手を操り、左手は「左遣い」が、そして足を「足遣い」が操る。
3人の呼吸の合った所作で、文楽人形は、あたかも魂を得て意思を持ったかのように自由自在に動き始める。
「主遣い」は、人形の背中から手を入れて首を動かす。
人形の着物を脱がせて見ると、手は肘から上が、足は膝から上がなくて、手足が動かしやすく工夫されていることがよく分かる。
人形の右手は主遣いが、左手は左遣いが、腕にある糸を操作して指を動かす。
首の下には、「胴串(どうぐし)」と呼ばれるつかみ手があって、前にある「チョイ」で首を上下させて、「ござる」でもって目や眉を動かす仕組みになっている。
文楽の人形が三人遣いになってから280年余りが経っている。
修業は昔も今も変わらない。
足遣いに10年、左遣いに10年と言われている。
人形の全身の動きや形をイメージしながら、三者がそれぞれ遣う部分の動きを考えないといけないから大変だ。byメイ