文楽を見よう11

再び、文楽に恋して

文楽には、古今東西を問わず人々を感動させる「本然の情」がある。人間以上に人形に感情移入できるのは、文楽の最大の魅力だ。

以下は『袖萩祭文(そではぎさいもん)』のくだりだ。雪が降りしきる戸外で、気を失った盲目の母に、幼い娘が自分の着物をかけてやる。気が付いた母はすぐには状況が分からない。やがてハッと気づき娘を抱きしめる。

ドラマや演劇ではスルーするこの場面、文楽だと泣けてしまう。そうなると、「文楽に恋して」の感情が高ぶる。平成15年(2003年)に、日本が世界に誇る優れた伝統芸能として、ユネスコの世界無形文化遺産に宣言されているのも頷ける。

確かに、文楽は伝統芸術だ。しかし、伝統を守る「伝承」だけではなく「創造」して行くことも大切な要素だ。妖怪ブームの再来で、今、マンガ「ゲゲゲの鬼太郎」が再評価されているが、浄瑠璃で鬼太郎をやるのはどうだろうか。鬼太郎と猫娘の「浪花の恋の物語」をぜひ、観たいものだ。byメイ

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