「八百八橋にはドラマがある!」その8
~商人の町大阪にはこんな素敵な場所がいっぱい~
川崎橋の美しいフォルム
大阪城公園の近くの大川に架かる川崎橋は、自転車と歩行者専用の橋として誕生しました。河川敷公園である大川沿岸では、景観として橋の占める位置は重要でした。浪華三大橋や銀橋と言われた桜ノ宮橋に囲まれた位置にあり、周囲との調和もデザインにおいては検討されて作らたのです。
橋はその形の美しさがよければというものではありません。背景との調和があってこその景観になります。また人が通る歩道橋のため揺れを減らすことや、近代的で見晴らしがよいことも条件としてデザインされました。その答えが塔が一本の二径間斜張橋でした。ワイヤーの数を多くして強度を増やしつつ、細くすることで景観を邪魔しない。そんな工夫がいっぱい詰まって生まれた橋なのです。
川崎橋には公園橋としての顔もあります。中之島から万博記念公園へとつながる大規模自転車道(北大阪サイクルライン)の一環でもあり、大阪城と毛馬桜ノ宮公園をつないでいます。天満橋などと比べると小さな橋ですが、昔は月の名所として浪花百景の一つにも数えられた場所でした。
銭とり橋
川崎橋の辺りは元々は渡し場として栄えており、京都の伏見と大阪の八軒屋の船着き場を結んでいた要路でした。交通の要所だけに船番所などの施設もあり、季節によっては花見や月見などの舟遊びの客で賑わっていたようです。
現代の日本では考えられませんが、昔の橋は架けた人がお金を徴収してよいとなっていた橋も多いのです。今でいう高速道路の料金みたいなものですね。橋本仁甚兵衛なる人が明治政府の許可を得て架けた私橋で、一人三厘を徴収していたようです。天満や川崎につながる交通の要所に立っていたので、旧川崎橋もお金目的で架けられた橋の一つで「ぜにとり橋」なんて呼ばれていました。
川崎橋と「苺りりっく」
川崎橋はなんと、YTV深夜ドラマ「苺りりっく」の舞台にも使われております。もう十年以上前の話なので……書いた本人くらいしか覚えてないんですが。主人公がこの橋を渡っていくシーンの撮影に立ち会いまして、再び訪れた時はデジャブを感じていました。この橋の形がキレイだということで、ディレクターさんが提案してくれた場所でした。
くだらねぇとつぶやいて 醒めたつらして歩く
(エレファントカシマシ「今宵の月のように」より)
音楽の歌詞をベースにした10分程度のミニドラマでした。いつかまた、ドラマの主人公に川崎橋を渡って行ってほしいものです。