1970年にタイムスリップ 5
新旧の流れが交錯する1970年映画界
ベトナム戦争の終結をみないまま1970年代に突入したアメリカでは、反戦運動やウーマン・リブ運動が高揚する。
時代を反映したブラック・コメディ「M★A★S★H」(監督:ロバート・アルトマン、出演:ドナルド・サザーランド)が登場し、大っぴらな性表現の作品が制作される一方で、古典的な純愛映画「ある愛の詩」(監督:アーサー・ヒラー、出演:アリ・マッグロー、ライアン・オニール)がヒットした。
大富豪の家に生まれたハーバード大学法学部の大学院生オリヴァー・パレット4世は、貧しい大学生ジェニー・キャヴィレリに夢中になる。オリヴァーは地位や財産のことにしか頭のない親に縁を切られるがジェニーと結婚し、2人はつつましいながらも幸せに暮らしていた。ところがジェニーは重いガンに侵され、やがてオリヴァーに抱かれて息を引き取る。謝ろうとする父を残して、オリヴァーはセントラルパークの奥へと消えて行く。感動のラストだ。
日本映画にも名作が誕生する。高度成長時代に取り残された人々を描いた「家族」(監督:山田洋次、出演:倍賞千恵子)だ。
長崎県の炭鉱労働者一家が、北海道の開拓地に移住するまでの長い旅の様子が描かれている。日本列島を旅する家族の目を通して、1970年当時の日本の世相、風景を見ることができる。
大阪万博会場で唖然とする一家の姿が印象に残る作品だ。byメイ