「 私とシナリオセンター 」 S・Hさん 土E2研修科
作家養成講座106期生

シナリオを勉強しようと思ったきっかけは何でしょう?
作:20代の頃、演技の勉強をしていて、演じる側として脚本・シナリオに向き合っていました。演劇を辞めて会社員になってからはシナリオと無縁の生活をしてましたが、部屋の大掃除をした時に過去携わったシナリオが出てきたんです。その時にふと、そういえばシナリオってどうやって出来るんだろうと気になったことが、シナリオを勉強しようと思ったきっかけです。
イ:そういえば朗読劇に参加されていますよね。収録の時もすごくスムーズでした。
作:女優になりたくて東京にでて演技の勉強をしていました。運良く事務所に所属できたものの、オーディションに受からないことが続いて、生活も苦しかったので辞めてしまってからは演技と離れた生活をしています。
イ:でも、それは今書く事で経験としてつながっているんじゃないですか?
作:そうですね。役者で学んだことは、「脚本を読む時には行間を読め」と演出家の人に言われていたことです。役者は1シーンの一言の台詞を言うためにどう埋めていくかが大事で、そこに滲み出るんだろうなと思います。キャラクターを作るのにつながっていっているのかもしれません。
イ:演じることと書くことの違いって、どう思われていますか?
作:難しい質問ですね…。演じる時はワンシーンでも、台詞が一つでも、演じる役はどんな人生を歩んで今に至るのかをまず考えますね。もし全体の台本があるなら、シナリオの中での役割も意識して演じます。書くときは登場人物、構成など全体を捉えていないと書けないのかなと。
なので違うといえば、視点でしょうか。人物視点なのか、神視点なのか。演じる時も全体の中の立ち位置を意識しますが、やっぱり本番のときは役そのものになりますしね。
イ:なるほど演技で学んだことですね。ところで、いままでやった役の中で、これは自分に合っていたと思う役はありますか?
作:変な人の役です。一つは、段々と恐怖に苛まれていく役。もう一つは、コメディ路線での変な人です。思い切りやれるのがいいですね。実際は看護士役とかが多かったですね。イメージに合っているのかもしれません。
シナリオセンターで勉強されてみて、変化はありましたか?
作:ありました。実は大阪校にくる前に東京校で8週間講座と基礎科で学んでいたんです。仕事が忙しくなり基礎科の途中でやめましたが、関西に引っ越してからまたシナリオを学びたくなり、大阪校のシナリオ作家養成講座に申し込みました。一度基礎を学んだしなぁ、と思いつつ養成講座を受けましたが、学んだと思った自分が恥ずかしくなるぐらい、勉強になることばかりでした。学んだ気になって、理解してないことが多いことを実感しました。
イ:知っていることと、分かる・できるとは違いがありますね。先に8週間講座で学んだおかげで、分かった部分も大きいと思いますよ。書き始めてみて、書くって自分にとってどんなものだと感じていますか?
作:私にとって書くことは、登場人物と私が会話する、しゃべることです。もし、作品化されれば観客と私の会話になるイメージです。
イ:面白い考え方ですね。
イ:研修科での勉強ってどうでしょうか? 三十本のシナリオを描くって大変ですが、これは良かったや逆にこれは困ったなどの課題や思い出など教えてください。
作: とても面白いです。何より作品に対する意見がもらえるのが嬉しいです。捉え方や視点って人によって全然違うと思うんです。だからこそ研修科の皆さんの意見や感想は、自分にはないものだからとても勉強になります。恥ずかしながら私は映画やドラマをほとんど知りません。みていない作品が多いから、皆さんが「ドラマの◯◯っぽい」と言ってもらえると、「それ観よう!」と1つ作品の勉強になるから有難いです。
三十本のシナリオ、、、大変です(笑)遅筆なので全く課題は進んでいません。書けても枚数がオーバーしてしまうことが多くて。。。今の課題はシークエンスを意識して書くこと、動機をはっきり描くことでしょうか。あとは何よりも書くスピードをあげることです(笑)
イ:いまはいろんなものに触れて、そして書いて学ぶ時期ですね。試行錯誤してみてください。
作品を書く時のこだわりって、ありますか?
作:こだわり、、、出来ているかは別として、意識しているのは登場人物の見ている世界を大切にすることでしょうか。子ども、大人、性別や住んでいる環境とかで見る世界は全然違うと思いますし、身長差から物理的に見えるものも違いが出てくると思うんです。
違いがあるからすれ違いや諍いが起こったり、お互いに理解しようとすることでドラマが生まれるのかなぁと。なのでそのこだわりは意識してこれからも書いていきたいです。
イ:そのこだわりを活かして、どういうドラマを描いてみたいですか。
作:自分の中のこれはというテーマとして、「家族」があります。血はつながっていてもバラバラだったり、その逆もあったり。血縁てどういうことなのかを考えていきたいと思ってます。
イ:ホームドラマのジャンルってことでしょうか?
作:ホームドラマなのかな。好きな作品は違うんですけどね。「天使にラブソングを」や「ホームアローン」だったり、コメディが好きなので。
イ:コメディとホームドラマは相性もいいし、コメディ書いてみたらいいんじゃないですか。
作:やってみようかな。
イ:最後にこれからの抱負を決めセリフでお願いします。
作:頭で考えすぎるな、キーボードを打て!ですかね。
S・Hさんも参加されている朗読劇の動画はこちらから。