俳句の季語は奇語ばかり? 2

「鞦韆」と「出代」 春の季語

季語には、読みの分らないものが多い。「鞦韆(しゅうせん)」と「出代(でがわり)」もそのひとつだ。

「鞦韆」は、大歳時記によると、「ブランコ」のことで中国北方民族のものが中国に伝わって呼ばれた名とある。
そう言えば、中学校で学んだ漢文にも出ている。「春宵一刻値千金 花有清香月有陰 歌管櫻臺聲細細 鞦韆院落夜沈沈」蘇軾の「春夜」だ。
「鞦韆のある中庭に静かに夜は更けて行く」という意味だ。庭にブランコがあるのだから豪邸だろう。
都市公園のブランコでは読めない季語ではないかと考えてしまう。

「出代」は「でがわり」と読む。江戸時代から昭和初期まで続いていた奉公の制度で、奉公の期間が明けて、使用人が入れ替わることをいう。
ちなみに、新しく奉公に入った者を「新参(しんざん)」と言い、「古参(こさん)」や「居重ね(いがさね)」は「出代」しない者のことだ。
夏目漱石の句に「出代の夫婦別れて来りけり」がある。この句が面白い。
素直に読めば、奉公の明けた夫婦が別々に挨拶に来たとなるが、奉公の明けた夫婦が離婚して報告に来たとも思える。
明治の文豪だけに、俳句にも様々な物語をちりばめている。byメイ

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