「海辺の水仙」木N作家集団 K・Tさん

シナリオ作家養成講座88期卒業し、木N作家集団在籍。

2023年北日本文学賞(小説)二次通過 

作品タイトル「海辺の水仙」

「海辺の水仙」てどんなお話ですか?

作:亡夫への挽歌とも言える私小説風の作品です。夫の遺品を整理していて、従姉が夫に宛てたラブレターを主人公が見つける。それがきっかけで従姉に会いに夫の故郷の町を訪ねる。そんなストーリーになっています。

イ:夫宛てのラブレターって、なかなかないですよね。ドラマなら小道具としても面白そうですね。それからどうなるんでしょう?

作:彼女は夫の故郷で従姉と出会い、彼女の身の上や夫の実母への想いを知っていきます。昔、夫と出かけた水仙の咲く海辺へ行くラストにつながっていきます。

イ:めっちゃ絵があるラストですね。すごく見たくなります。だから海辺の水仙というタイトルなんですね。

※イ:インタビュアー 作:作者

今回の作品を書こうと思ったきっかけは?

作:亡くなった夫をどこまできちんと理解できていただろうかと。悔いのようなものが年齢を重ねるにつれて深まってきて、この思いを一度深く掘り下げてみたいと思ったのがきっかけです。

イ:そこまで思ってもらえるなんて幸せですね。小説の中ではわりと寡黙な夫で描かれていますが。実際もそうだったんですか?

作:はい、そうです。言葉をとても選んで言う人だったと思います。

イ:本当に思い入れのある作品ということですね。

作品を書く時のこだわりってありますか?

作: どこまで正直に自分を偽らずに書けているかどうか。そこが最後まで気になります。推敲にはきりがありません。でも、その作業をしている時が一番楽しく、充実している気がします。粗削りの彫像を彫刻刀で丁寧に彫って仕上げていく作業のように思えるから。

イ:書く作業ってしんどさもあると思いますが、何かありますか。またそんな時の癒しってあれば教えてください。

作: テーマに沿って掘り下げていけているかどうかがしんどくなります。行き詰ったときはテーマに近い小説なども読んだりします。癒しは何も考えずにぼうっとすることでしょうか(笑)

どんな作家になりたいですか?

作:作家になりたいというよりは、感動した出来事や感動した人物を掘り起こし、共感してもらうこと事が出来たら嬉しい。そういう作品を書くことが出来たら本望です。

イ: 感動した出来事や感動した人物って、例えばどんなものがありました。

作:与謝野晶子と万葉集の女性歌人・大伴坂上朗女(おおともさかのうえのいらつめ)です。二人に共通しているのは、現実の苦しさから逃げずに、自分に与えられた試練で自分のキャパシティを大きくしていったこと。受容力っていうんでしょうか。

イ:では、最後にこれからの抱負を決めセリフでお願いします。

作:三十年来温めてきた歴史小説を書き上げ、世に送り出すこと。主人公の女性が早く描いてと待っていてくれる気がしています。(かなり恐い思い込みですが)

イ:三十年ですか! すごい楽しみですね。いつ頃、完成予定でしょう?

作:なんとか近日中に完成予定です。

イ:楽しみに待っていますね。

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