「うそからの」木N研修科 Y・Yさん

シナリオ作家養成講座104期卒業し、木N研修科に在籍。

2020年 NHK創作テレビドオラマ大賞(シナリオ)一次通過 

作品タイトル「うそからの」

イ:いつもは作品の質問から始めてるんですが、ちょいと噂を耳にしまして。なんでもYさんは作家養成講座に三回も通ったすごい人だとか?

作:本当です。性格が真面目で形から入るタイプなので。

イ:なるほど、一番最初はいつごろですか?

作:2016年くらいです。ちょうどTBSのシナリオ公募で一次審査に通った時ですね。

イ:そのまま通わなかったのはなぜ?

作:忙しかったり、いろいろあって通うのが難しくてブランクが出てしまって。でも、その後に長篇サポートも受けてたんですよ。だんだん自信もついてきて、ついに研修科に通ってます。

イ:そもそもシナリオを勉強しようと思ったきっかけは何でしょう?

作:元々、エンターテイメント系の編集&ライターをしていて、様々な取材を通して、取材対象の魅力を引き出す作業が好きで、取材相手の魅力にさらにじっくりと寄り添える仕事がしたいという思いから芸能マネージャーになった時に、ドラマ脚本や割本に触れることがあり、そこで興味を持ったのが最初のきっかけだったと思います。

イ:多才ですね。そこで、すぐにシナリオ・センターに来られた? それとも独力で何かされていた?

作:すぐではないです。東京時代にライターからマネージャと経験したのが二十代のころです。それから旅館の中居さんをやってみたくて、

長野県で働いてました。大阪に帰ってきたのはその後です。

イ:えらく仕事の幅が広いですね。

作:接客業があっていたのと、着物が好きだったので。 旅館の方達にもお客様にも恵まれて、とても楽しかったです。

「うそからの」ってどんなお話ですか?

作:料理を食べるとその人の感情が読み取れる、という特殊能力を持つ探偵が、一人の詐欺師を追う話です。 “イエローマフラー”と呼ばれる詐欺師は、傷ついた者たちに手を差し伸べ、詐欺(嘘)で稼いだお金で、家族(嘘)のような温かい暮らしをさせていた。探偵は、料理を食べ、それぞれ作り手の感情を受け止めながら、やがてその詐欺師に辿り着きます。

イ:料理を食べてわかることにアイデアがあって、温かみがつたわる作品でした。作品はこういったファンタジー設定のような作品が多いのでしょうか? Yさんが書く作品のカラーってどう思われます?

作:でもないですね(笑)ファンタジーはあんまり、真面目なヒューマンドラマが多いと思います。でも、研修科などでキャラクターがユニークだと言われるので、そういった部分がカラーかもです。

イ:今回の作品を書こうと思ったきっかけは?

作:人生の中で、突然大切な人を失ってしまったり、詐欺に遭って人生が狂ってしまったり、耐え難い出来事に直面したとき、乗り越えていける人ばかりではないと思います。心が折れて、それでもなんとか生きて行くためには“うそ”も必要な時があって。どれが正しい生き方で、どれが間違った生き方なのか、割り切れないこともあるのでは……と思いました。

また、東日本大震災があり、大切なご家族を失われたり、思い出の家、財産、あらゆるものを突然失い、それでも生きていくしかない中で、時間が経って復興が始まると、今度は立ち直ろうとする人たちに詐欺の手が忍び寄るようなニュースを耳にした記憶があったこともひとつのきっかけかもしれません。

イ:作家としての目線が深いですね。良い人ばかりの世界ではありませんから、そこから作品を生み出していけるのはすごいと思います。こういう考えを持つようになったのは後天的な努力に見えますが、何がYさんをそうさせたのでしょう?

作:阪神淡路大震災は経験しているんですが、実はあまり覚えてなくて。

イ:あ、早朝だったので、大阪とかだと最初は気づかなかったという人多いですよね。

作:ただ、災害についてのニュースを見るたびに、思うところはあって。人の死に対して、敏感な部分はあると思います。やっぱり身近な人の死はショックが大きいですね。

イ:作品を書く時のこだわりってありますか?

作: 作品を通して、何を伝えたいかを念頭に置きながら、答えを出し切るのではなくて、受け取ってくれる人が考える部分を残しておけるように書きたいと思っています。あとは物語の中に直接描くことはないとしても、それにまつわる情報をできるだけ多くリサーチしたいと思っています。

イ:なるほど。取材って大変じゃないですか? Yさん的な取材のコツや苦労したエピソードがあれば教えてください。

作:仕事もそうですが、いろんな経験があって。自分が体験したことは強みだと思ってます。資料については出来るだけ集める。一度、老人ホームを書いてみたくて、資料を取り寄せたら勧誘が定期的にきて大変なことになりました(笑)

イ:どんな作家になりたいですか?

作:製作陣が創りたい、撮りたいと感じるような、演者が演じたいと思うような、そんな脚本が書ける作家になりたいです。それが結局は観る方たちに響いていくと思うので。脚本は、書く時は孤独な一人作業ですが、あくまでひとつの作品を作るための設計図を書く係だと思っているので、脚本はもちろん、人としてもチームの一員として不可欠だと思ってもらえるような作家になれたらとんでもなく幸せだと思います。

イ:ステキ!としか言えません(笑)どこで、そんな人間性を磨いているのか教えてください。 

作:エンタメ系の学校の音楽ライターコースに通っていました。そこの恩師には今でもお世話になっているのですが、校内でやる学生ミュージカルを書かないかと誘われてわからないながらも数年やらせていただきました。生徒さん向けなのでいろんなオーダーがある中で、たくさんのことを教えてもらいました。 

イ:それはいい経験ですね。

作:大変でしたが、ものすごく楽しかったんです。

シナリオセンターで勉強されてみて、変化はありましたか?

作:もう、変化しかありません。基本的な専門知識からしっかり学べるのも楽しいですし、しっかりと段階を踏んで書けるようになっていくのを実感しながら進めるのも面白いですし、どんどん面白くなる一方です。

イ:理想的なコメントですね。あれ、仕込みじゃないですよね?(笑)ここ、生徒さんのコメントを載せる資料とかに使いたいですよ。他にされている勉強方法は?

私のシナリオ勉強法とかってあれば教えてください。

作:好きなドラマのシナリオブックを読む。他にはドラマを見て起承転結を考えたり、配信や再放送でチェックしたりしてます。

イ:勉強してますね。

イ:研修科での勉強ってどうでしょうか? 三十本のシナリオを描くって大変ですが、これは良かったや逆にこれは困ったなどの課題や思い出など教えてください。

作: 単に30本のシナリオを描く、と言われると大変だと思うかもしれません。実際に大変は大変なのですが、自分のペースで進めることができますし、30本の中でも、この段階ではこういう力をつけますよ、とか、こういうことを意識して描いていくとこんなシナリオが描けるようになりますよ、など、導かれながら進んでいけるので、まだまだ途中段階ですが、自分の成長を感じられる瞬間もあって、面白いです。同じクラスの方たちからいただく言葉も、その方たちの作品に触れられることも、本当に勉強になることだらけで楽しくて、モチベーションが上がります。

 良かったと思える課題は、正直、まだないかもしれません……。まだまだ力不足でどの課題にも苦戦していると思っていますが、特に、「死」や「背信」、「不安」など、マイナスイメージのある課題が続くと、描いている自分自身も沈んでいくというか、描くのがしんどくなってしまう時があるのですが、それすらも楽しいと思っています。

イ:なるほどね、結構入り込んでしまうタイプなんですね。

シナリオを書いてて疲れた時の回復方法というか、癒しなんてありますか?

作:反動でふざけたものを書いてしまいます。雪の課題で、雪女のパロディを書いたり・・・さすがに後でちょっと反省しましたね。まぁ、シナリオの仇はシナリオで討つって感じでしょうか。

イ:タフですね(笑)

イ:最後にこれからの抱負を決めセリフでお願いします。

作:仲間に囲まれて「私は脚本家です」と胸を張れる日まで書き続けます。

イ:すごく楽しいお話でした。ありがとうございました。

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