○小学校・教室
生徒達が授業を受けている。
黒板に「タイムカプセル製作」の文字。
先生の目を盗み、ひそひそ話をしている西尾和人(12)と永松宏伸(12)。
永松「じゃ、誰? このクラスの女子か?」
真っ赤になり、領く西尾。
永松「俺の好きな子も教えるから、セーノで指さそう。いいか、セーノ・・・」
同じ方向を指さす2人。
その先に座っている岩崎理沙(12)。
驚き、笑い合う西尾と永松。
永松、ふと机の原稿用紙を見る。
永松「そうだ! タイムカプセルに、あいつ宛てのラブレター入れようぜ」
西尾「え?」
永松「あいつ、10年後に見たら驚くぜ!!」
にっこり笑う西尾。書き始める2人。
○葬儀場
葬儀が行われている。
飾られている永松の写真。
参列している、詰め襟姿の西尾(13)
少し離れた所にセーラー服姿の理沙(13)。
西尾、理沙を見つめ、やがて出て行く。
○小学校・校庭
地面を堀り返している西尾。
やがて、中から箱を取り出し、続いて一編の作文を取り出す。
○岩崎家・玄関
立っている西尾。中から出てくる理沙。
理沙「西尾君!!どこ行ってたの!?」
黙って作文を差し出す西尾。
表紙には『10年後の君へ 永松宏伸』。
受け取り、読み始める理沙。
西尾「あいつ、お前の事好きだった…今さら伝えても、どうにもならないけど…せめて
忘れないでやって欲しいと思って……」
読み終える理沙。西尾を見る。
理沙「あなたも、私の事好きなの?」
西尾「え?」
声に出して読み始める理沙。
理沙「10年後の理沙。君はきっと美人になって男に不自由してないだろうが、すぐ側に
もいい男がいる事を忘れるな。その名前は西尾。奴は一生お前を愛せる奇特な男
で…」
西尾「あいつめ…」
理沙「今度、2人でお墓参り行かなきやね」
にっこり笑い、領く西尾。
<終>
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