『環状線ぐるりひと周りシリーズ 〜二面性をもつ町・桃谷〜』 |
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今回からは趣向を変え、意外と知ってそうで知らない、環状線ぐるりひと周りシリーズを始めることにします。 地下鉄御堂筋線や堺筋線が仕事の場の電車であるとすれば、環状線は大阪の庶民の生活の場の電車であると言っても過言はないと思います。 大阪市内を本町を中心とするように19の駅を一周40分ほどで周りますが、それぞれの駅が異なった町の顔を見せてくれます。(ちなみに東京の山手線は29駅で60分かかります。) とっかかりが大阪駅からということでは余りにも芸が無いので、まずは鳩子の地元である桃谷駅から始めますが、次回はどちらに周りましょうか? 〜二面性をもつ町「桃谷」〜 桃谷というある意味で可愛らしい名前がついた駅ですが、環状線の内側と外側では全くことなる顔を見せます。 内側は上町台地に連なるお屋敷町の名残りをみせる天王寺区で、学校や病院がたくさんある文教地区です。うってかわり外側は、下町の人情温かい風情が未だに根強く残る生野区で、長屋に町工場、韓国系のお店など、まさに大阪という感じです。 もともと桃谷は名前の通り、一体が桃畑であったためつけられた名前ですが、環状線開業当時は桃山と呼ばれていました。しかし、奈良にも同じ名前の駅があるため、混同をさけるため、桃谷という名前に改称されました。 駅名は桃谷ですが、この近辺の地名は昭和48年までは、猪飼野中、猪飼野西、鶴橋北之町、鶴橋南之町、東桃谷町でした。 猪飼野という地名は、猪(豚)を飼育する人たちの地という意味で、今では、平野川に架けられている「猪飼野新橋」、市バスの「猪飼野橋」停留所、桃谷3丁目にある「猪飼野保存会館」にその名を残すの みとなっていますが、猪飼野イコール在日コリアンの町という差別が横行していたため、駅名を地名に変えたのでした。 このごろではそのような偏見もなく御幸通りというコリアンタウンを楽しみで訪れる人が増えてきましたが、つい10年数前までは暗い戦後の闇を引きずってきたような背景があった町なのです。 このあたりのことは生野区在住の芥川賞作家玄月さんの著作によく書かれています。 その桃谷駅から商店街を東へ400mぐらい行ったところに、日本で最初の橋といわれる「鶴の橋」跡(鶴橋という地名のもとになった)や中臣(藤原)氏の租である大小橋命(おおおばせのみこと)の墓陵である御勝山古墳があり、古代へのロマンがかきたてられる人もおられるでしょう。
また、桃谷駅からすぐ北東100mにある桃谷公園にはかつて「いかるが牛乳」の牧場があり、地元では「いかるが公園」と呼ばれています。大阪市内で乳牛を飼っていただなんて想像できますか? 普段は近所の子供達やご老人で賑わっていますが、地域柄韓国出身のおじいさんたちが韓国将棋を指している風景もこの町ならではです。
以前のロケハンでもレポートしましたが、ここ桃谷は喫茶店がとても多い町で、独特の喫茶店文化を誇る名古屋に負けない位面白い「さてん」がそれぞれのお値打ち感と雰囲気を競っています。 はっきり言ってこれという際立った特長のある店が存在するわけでもないのですが、なぜかしら皆流行っているのですね。朝からモーニングサービスと知人との交流を目的に集う人たちを見ていると、まさに大阪のカフェ文化この町に極まり、といった感じです。 そんな庶民的な桃谷に対し、内側にある天王寺区は昔ながらの大きなお屋敷が残る高台で、かつてはお金持ちや役者などが多く住んでいたそうです。
残念ながらこんなご時世なので、お屋敷のほとんどはマンションに立て替わってしまっていますが、路地を歩いていると大きな蔵や立派な門構えの家に出会ったりします。 さらにS学会やT教といった宗教法人の威容を誇る会館もたくさんあります。 よって昼間は通学や通院、さらには信者たちで賑わっていますが、夜になると市内とは思えない静かさです。 たぶんこんな二面性をもつ町は環状線の中では桃谷だけですね。 【桃谷グルメ】 ・コロッケさきやま 桃谷商店街中ほどにあるコロッケの名店で、毎日昼前には全て売り切れて閉店です。ぶら歩きのお供にいかがですか? ・信貴そば 駅前にあるデサント本社横のなにげない町の普通の蕎麦屋ですが、 きっちりとった蕎麦の出汁はいつもほっとした暖かさを感じさせま す。最近蕎麦屋というと妙に肩肘張ったとがった店ばかりですが、 たかが蕎麦なのですから気取らずに、リラックスして食べたいものです。 ・Wassy´s センターの飲み会やパーティで使うドリンクの調達いつもお世話になっている四天王寺警察署横にあるワインショップです。 とても感じの良い若夫婦が経営する、カリフォルニアやニュージーランドなどのいわゆるニューワールドワインをメインに品揃えしている繁盛店です。 併設のお洒落なレストラン「Souple」は料理も美味しく、散策帰りの夕食に最適ですヨ。(ただし日曜定休) http://www.rakuten.co.jp/wassys 【音楽の町】 桃谷近辺は音楽が盛んなところで、今は無くなってしまいましたが、「Bee House」というライブハウスには憂歌団がよく出演し、若きミュージシャンの登竜門になっていました。(お店の最後は河島 英吾が経営者でした。) 桃谷から寺田町へ向かう環状線の高架下には「M´s Hall」というJazzのライブハウスがあり、上町筋の国際交流センター近くには、「FRANK ZAPPA」というロック好きならピンとくる名前の、一昔前のロック喫茶風の店があったりもします。 そんなわけか、木村充揮さんなどこの近辺に住んでいるミュージシャ ンも多いのです。 ・M´s Hall http://www.kh.rim.or.jp/~takei/edf/livehous/mshall.html ・木村充揮さんの公式サイト http://www.kimuraatsuki.com/ |
小さな交通資料室様
日本の旅・鉄道見聞録様
(素材をお借りしました)