第26回放課後倶楽部 平成17年8月27日(土曜日)
妻・フェミニスト心理カウンセラーとの半生がもたらしたもの
「出会った相手がわるかった!?」
講 師   宮本 博文 氏
日 時   平成17年8月27日(土曜日)16:00〜18:00
宮本博文先生


  宮本 博文(みやもと ひろふみ)氏プロフィール
1949年生まれ。72年、大学卒業後、家業の家庭金物卸業に従事、主に営業を担当。74年、友人の結婚式で由起代さん(現在フェミニスト心理カウンセラー)と知り合い結婚。89年、妻との生活を通して、フェミニズムを自分の生き方として選択。93年、営業のかたわらフェミニズムの研究と執筆を手がける。
●現在 特定非営利活動法人 心のサポート・ステーション副代表理事 堺市男女平等推進審議会委員フリーランス・ライターとして執筆・講演活動をつづけながら、体験的フェミニズム論を展開。主に男にとってのフェミニズム、家族にとってのフェミニズムとは何かを研究。ドメスティック・バイオレンス(DV)防止のための講演活動を続けている。
●著書 「出会った相手がわるかった!?」かもがわ出版/「男とフェミニズム」大阪心のサポートセンター機関誌連載/「家族とフェミニズム」大阪心のサポートセンター機関誌連載/「めざせ!ストップDV.これが決め手」大阪心のサポートセンター機関誌連載中

▼コメント▼

「人生を2度生きた」といえば、「そんなあほな」と怒られそうですが、まさにその表現がぴったりはまるのが今の私。ひと言でいえば「妻の影響を受け、ものの考え方が変わってしまった男」となるのですが、それだけなら何もとりたてて語ることもないでしょう。なんと、妻はフェミニスト、しかも筋金入り。「男女平等」「対等な夫婦関係」それらが結婚して5年もした頃には我が家の家風となりつつありました。となるとフツウの男ならガマンの限界、怒り心頭「いい加減にしてくれ!」となること必定。そして私もその部類「フェミニズムと俺、どっちとるねん!」と思わず叫んでいました。とうとう吐き出した胸のつかえ。スカッとしたものの、次の瞬間、耳を疑いました。「決まってるでしょ、フェミニズムよ」と涼しい声。ハッとして見つめると、彼女の凛々しい姿が、そこには一点の曇りもありません。「本気や」と直感。夫としてはなんとも悲しい返事をきくはめに。ですがそんな彼女に惹かれたのもまた事実。スカッとさわやかに言われるとなぜだか腹は立たない。「離婚」の2文字が頭をかすめるものの、彼女の信念と誇りを見てしまった私にはどうするすべもありませんでした。「私を生かせば彼女が彼女でなくなり」「彼女を生かせば私が私でなくなる」そんな状況を悟った瞬間でもありました。これを葛藤と人は呼ぶのでしょう。そんななか、私の求めたものは……。最も大切な相手から突きつけられたフェミニズム、それをどう捉え、いかにして共感するに至ったかを、正直にお話したいと思います。今では、あれほど苦しかった葛藤、それも楽しい葛藤となり、「自分も生き、彼女も生きる」そんな関係が生まれています。女性も男性も性別にとらわれず、個性を生かし、生き生きと暮らせる社会が1日でも早く来るようにと願って活動しています。

▼宮本由起代氏プロフィール
1949年生まれ。関西大学大学院修了。
1987年、仲間と共同で「こころの相談室マインド」設立。
1995年、仲間と共同で、フェミニストカウンセリングルーム「大阪心のサポートセンター」
       を設立。
2003年、仲間と共同で、「特定非営利活動法人 心のサポート・ステーション」設立。
 現在、大阪心のサポートセンター代表。特定非営利活動法人 心のサポート・ステーション代表理事。ドーンセンター(大阪府立女性総合センター)、その他公共機関及び大学の心理カウンセラー。著書に『ジェンダーとセクシュアリティ』(共著、嵯峨野書院)。


講義内容
 「私のことは私が決める!それがフェミニズムの基本」―フェミニズム活動をなさっている宮本博文先生の御講義は、まさに目から鱗!感銘と知識、両方を頂きました。

 妻、由紀代様との結婚生活の中で得られた葛藤と心情変化、そして感動は、ドラマよりもドラマチック!

 「夫婦間の苦しみの原因は、夫から妻への要求のせいだった」「幸せにしようと思っていた相手を、実は自分が苦しめていた」「彼女を知るには彼女が勉強していること(フェミニズム)を知ろう!」女性学ではなく、実体験を熱く語られる先生に、会場の熱気も高まりました。

 また、ジェンダーフリーやドメスティックバイオレンス等、何げなく使われている言葉の正しい意味とその現状。テレビドラマにおけるフェミニズムの描かれ方の違和感。男女平等に対する「社会」と「人」の意識のずれ…etc。ハッとさせられるお話が、次々と出てきました。

「シナリオを書いている人に、自分の思いを伝えられることが嬉しい」とおっしゃる先生。シナリオに対しては特に熱心に語って下さいました。そして、「フェミニズムを理解したうえでそれを作品に活かすと、今までの作品とは全く違うものが出来るはず。それは、『視聴者である女性達』の求めているもの!」と、力強いメッセージ。「参加者の今後のシナリオに革命が起こるかも!?」そんな予感さえした情熱的な二時間でした。


参加された方々のお声
・ 先生ご自身が、初めて変っていく過程のお話をお聞きすることができてよかったです。 奥様も忍耐強く、えらいと思いました。 対話を大切にされてきたことがよくわかりました。

・フェミニズムについては、本当に何も知らなかったのですが、今日のお話を聞いて、なるほどと思いました。あまり深く考えたことはなかったのですが、心の深い部分、気持ちの持ち様に深くかかわることでむつかしいことですが、考えてみるのは必要で、おもしろいと思いました。ドラマを作っていく上でも、役立ちそうに思います。 自分の感覚も少しは変わったようです。ものの見方を少し変えてみることで、そこに違った何かが見えるのだと思いました。

・とても興味深い話を聞かせて頂いたと思います。

・フェミニズムの考え方が理解できました。勉強になりました。


・以前テレビで、男性は生まれながらに「見栄・プライドの人」、女性は「協調性の人」と言われていたのを見たことがあります。先生のお話に、そのことをあてはめて聞いていると、私なりに受け入れやすかったです。 私は、「性格だから」という理由で、「出来ない」「やらない」という人を見ると、「考え方を変える事はできるでしょ」と、言いたくなってしまいます。私はどちらかというと、先生の奥様に近いタイプかもしれないと思いました。