第25回放課後倶楽部 平成17年7月30日(土曜日)
ドラマや映画の小道具としてのドリンク大研究
講 師   岡澤 秀人 氏
日 時   平成17年7月30日(土曜日)16:00〜18:00
岡澤秀人先生

  岡澤 秀人(おかざわ ひでと)氏プロフィール

フードコンサルタント 学校講師 Webデザイナー ノムリエ
専門校、カルチャー等で飲食店マネージメント講座&ドリンク実習講座、マーケティング・リサーチ講座、ワイン・日本酒・焼酎講座担当。
※ノムリエとはソムリエに最も肝心なワインを冷静に分析するという点(´)が欠落した、飲んでばかりいる人のこと?

▼コメント▼

古今東西、様々な映画やドラマの中において、ワインやカクテルが登場人物の言葉に出せない気持ちを代弁したり、またある時はミステリーの謎解きの小道具として重要な役割を果たしてきたことは既にみなさんよくご存知のことと思います。
例えばカサブランカにおいて、ハンフリー・ボガードがシャンパンを片手にかつての恋人との再開時に言った「君の瞳に乾杯!」という台詞。 またショーン・コネリー時代のジェームス・ボンドのオーダーの仕方「Shaken, not stirred」が印象的だったドライマティーニ。 そしてプリティー・ウーマンではストリートガールから淑女に駆け上がったジュリア・ロバーツの弾む気持ちと、その彼女に対するリチャード・ギアの優しさを象徴していたシャンパンと苺。
ノムリエならずとも、一度や二度はバーや彼女の前で真似をされた方も多いのでは? でも、いざシナリオにおいてワインやカクテルを登場させたいとき、どのワインやカクテルがいいのか種類もブランドも豊富だし、お酒もそんなに強くないのでよくわからないと、困られた経験はないでしょうか? 今回の講座では、いくつかの映画における印象的なワインやカクテルのシーンをみなさんと一緒に鑑賞しながら探ってみようと思っています。

・なぜそのワインやカクテルが選ばれたのか?  
・そのワインやカクテルにはどういう意味があったのか?

さらに、日本ではまだまだ非日常的な飲料であるワインやカクテルの西洋における歴史的な背景や扱われ方についても触れ、最後の30分程は飲み会(試飲会)形式で締めくくる予定です。

講義内容
 戦後の荒廃から高度成長期を経て社会が安定し豊かになってきたバブル前後より、食は単なる栄養摂取のためだけではなく流行や娯楽の先頭走者になってきたかの感さえします。

実際テレビや雑誌にはグルメ情報が氾濫し、食のフードパークなるものも乱立していますが、ドラマや映画の中の食のシーンをシナリオの観点からチェックしてみると、単にカタログ的に銘醸ワインや趣向を凝らした料理を登場させているものが多く、初期の007シリーズにおけるひねりの利いた小道具としての使い方や小津作品のように叙情的な背景として活用することをみかける機会は少ないように思います。

ただ食が爛熟し高度に情報化した現在、どのようにドラマや映画の中に登場させたらよいのか、はたまた何を選んだらよいのか、困っておられる方がとても多いようです。

今回、岡澤秀人先生からはワインが古今の映画の中でどのようなシーンに使われ、また何を意味しているのかをいくつかの作品を基に解説していただきました。

◆007 ロシアより愛を込めて
  ワインのセレクション間違いからスパイと見破られた!
◆007 ダイアモンドは永遠に
  明るく健康的な元祖オタク?ボンドのマニアックなセレクション
◆禁じられた遊び
  わずか60年前のフランスの田舎の食卓は本当に質素
◆カサブランカ
  君の瞳に乾杯で有名なコルドン・ルージュとは?
◆ローマの休日
  シャンパングラスの形の移り変わりと意味
◆プリティ・ウーマン
   いちごとシャンパンって本当に美味しいの?
◆月の輝く夜に
  喜びを倍増させる即席シャンパンカクテル

先生は今の国産ドラマや映画の食事のシーンはマナーが悪く、食をおもちゃにして粗末に扱いすぎだと嘆いておられ、できればかつてのようにドラマ・映画がお手本となれるような素敵な作品を書いてほしいとのこと。

ロシアより愛を込めてにおいては、田舎者のロシアスパイが魚料理に赤ワインを選んだことでボンドに敵であることがばれてしまうのですが、今の食のシーンではカツオやマグロなどの赤身の魚には赤ワインでも美味しいし、豚肉や鶏肉のような白身の肉にも白ワインが合うだなんてことを伺うと、シナリオのことよりもついついその夜の食事のことを考えてしまったのは私だけだったのでしょうか?

また結婚式で未だよく使われている平たいクープ型のシャンパングラスは、背の高く細いフルート型に比べると安定感はあるけどきれいな泡が立ちにくく味わいも抜けやすい。でも女性が首もとを気にせず美しく飲めるようになっているというお話も興味深かったです。

腹もとを気にせず飲めるグラスやワインは無いかな〜?ということを考えつつも、最後の30分間は各種ワインを試飲させていただきました。


参加された方々のお声
・今までたくさん映画を観てきましたが、出てくるお酒に色々な意味があることを知って驚きました。これからは、そんな意味を考えながらドラマを見てしまいそうです。すごく参考になり、面白かったです。

・アルコール全般に弱いため、お酒の知識が全くありませんでした。だからこそ逆に、今回の講義に興味があり、受けさせていただきましたが、改めて自分が何も知らないことを痛感しました。ゆえに、ドラマの小道具としてワインを使うなんてまだまだ……。難しいことですが、今後はお酒のことに少し関心を持って生活していき、いつか今日紹介された作品のように、小道具としてお酒をシナリオの中で使えたら、と思います。

・ワインの試飲も楽しみで出席しました。ワインに関して楽しいお話が聞けました。ありがとうございます

・ビデオを見ながらのワインの説明がよかったです。

・とても楽しかったです。ワインもおいしく、このような企画は大好きです。勉強になりましたし、また是非よろしく!


・以前からシナリオに興味を持っていて、今日こちらのほうに来させて頂いたのですが、ドラマの中のワインの役割などは、全然何も考えたことがありませんでした。しかし、ただの雑学に終わらせずに、シナリオの中のプラス要素として十分に活用できるな、と感じました。本日は本当にありがとうございました。