第24回放課後倶楽部 平成17年6月25日(土曜日) | ||||
「能とその音楽に見る日本文化」 | ||||
講 師 山本 哲也 氏 日 時 平成17年6月25日(土曜日)16:00〜18:00 |
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講義内容 |
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「神・男・女・狂・鬼」 演目は五つのジャンルに分かれること、そしてそれらの特徴。武家社会の中で花開き、後に大衆に愛されるまでの経緯。歌舞伎や文楽との大きな相違点、等。参加者にとっては、滅多に聞くことの出来ない不思議で面白く奥深いお話。グイグイ引きこまれていきました。 また、「能はドラマのある人物がでてくるだけ。何も行動しない」「今、世間で求められている『わかりやすさ』と『スピード』はなく、観客が考え、想像して楽しむ」という点は、シナリオライターに求められるものとはまさに逆! しかし、「本当に大事なものを見せるために、他は見せない(省略の芸術)」「動かないから、動くところが人を感動させる。間を持ってしゃべるから、その言葉に重みが出る(無音の大切さ)」 など、能の世界にはシナリオに活かせる宝物が溢れているようでした。 最後は鼓の音を披露してくださり、会場は雅やかな雰囲気に。そして、「ぜひ能楽堂で『空気』を味わって、沢山の『クエスチョン』を持って帰ってほしい」と熱いメッセージ。参加者も、「もっと能を知りたい」「魅力的な能楽師を描きたい」等、能に対する新たな思いが芽ばえたようです。 |
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参加された方々のお声 |
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・シナリオ・センターに興味があり、秋から受講したいと思っている者です。今回の講義はとても楽しかったです。胸に響くわかりやすいお話しぶりで、感銘を受けました。鼓、習ってみたくなりました。 ・「できるだけ動かない」という表現方法を知り、びっくりしました。普段求められている表現方法と逆なので、勉強になりました。 ・今日、鼓を近くで見せていただき、音を聞かせていただきました。それだけでも、そのものに宿る物語を感じました。実際に能を観たら、いったいどのような世界なのか……とてもわくわくしてしまいます。能にしかありえない空気というものを、感じてみたいと思いました。 ・能の、表面的な部分ではなく、芯の部分に迫ったお話、とても興味深く伺いました。地謡を体験したことがあるのですが、ますます興味がわきました。 ・能の奥の深さがわかり、よかったです。シナリオを書くとき、何か役立ちそうな思いです。演じるということの「共通性」と「違い」……能から学ぶべきことは多いように思います。楽しかったです。 ・私は十代の頃に長唄の三味線のお稽古に通っていましたが、歌舞伎ではなく、能楽に興味を持ち始めたことが不思議でした。ですから、先生の後半のお話が特に興味深かったです。先生のお話を通して、能楽に対する興味の理由が何なのかが解りました。ありがとうございました。 ・テレビや舞台では、「分かり易さ」が大事な要素であると思っていました。が、能は、観客側に「考える事」を求めているのだと、初めて知りました。「秘すれば花」という言葉は、「省略されたものの奥にある真実を自ら考えよ」ということでしょうか? 武家社会から保護されていたということも判ったような気がしました。生と死の一瞬のはざまで、呼吸し、生み出される劇でしょうか? |