第23回放課後倶楽部 平成17年5月28日(土曜日)
〜短編映画『貝ノ耳』他を観ながら〜
「新しいシナリオを語ろう!」
坂井昌三先生

  坂井 昌三(さかい しょうぞう)氏プロフィール

シナリオ・センター東京校講師。1944年3月札幌生まれ。
新井一先生に私淑。後にシナリオ・センターで学ぶ。現在はシナリオのゼミや講座そして通信教育の講師などを通じて、日々「シナリオの普及」に身を削っている。月刊『シナリオ教室』に10年間に渡り応援コラムを連載。他に映画出演など多方面で活躍中。
第3回伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞
短編の部 グランプリ受賞作品 『貝ノ耳』より
出演される坂井昌三先生


メッセージ
普段、みなさんがあまり見かけない短編映画を観ながら、これからどのようにシナリオを書き、どのようにしてコンクールに挑んでいけばいいのかを、ともに「ショート・フィルム・フェスティバル」に参加している気分で語ります。主に、坂井自身審査員の一員である映画のシナリオコンクール「伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2005、7月末〆切り」を中心に喋る予定をしています。
当日は、坂井が出演した『貝ノ耳』や、他に『学校の階段』などの短編を観ながら、コンクールのシナリオに求められるものは何かを、分かりやすく語ります。出来れば、芝居やラジオ、マンガ原作のコンクールについても言及したいと思います。
放課後倶楽部が終わった後に、本格的にシナリオを書いたことのない人が、シナリオを無性に書きたくなる。書きたい題材やアイデアはあるのに、今迄どうにもシナリオにならなかった人が、すばらしいファーストシーンを書き出す。なかなかラストシーンが出来上がらなかった人が、目の覚めるようなシーンを思いつく…そんな2時間にしましょう!

伊参(いさま)スタジオ映画祭とは?
「眠る男」「月とキャベツ」をはじめ、様々な映画やテレビの舞台として登場する群馬県中之条町で行なわれる映画祭です。「中之条ふるさと塾」を母体に上毛新聞社、中之条町役場、ボランティアスタッフらが、手作りで企画した小さな山里の映画祭で、懐かしい雰囲気の学校の体育館で、カラカラと鳴る映写機の音色に耳を傾けながら行なわれます。

講義内容
  シナリオ・センター東京本校講師、俳優、コラム執筆、映画祭審査員。多方面で活躍されておられる坂井昌三先生の御講義。会場には、先生から通信講座でシナリオを学ばれている参加者の姿も多く、始終活気に満ちあふれていました。

 前半は、先生が関わっておられる、「伊参スタジオ映画祭」を中心に、色々な映画祭やコンクールのお話。ショ―トフィルムのネット配信や、制作費のための映画ファンドなど、時代とともに変わっていく映画の作り方。シナリオ・センター出身の林海象監督と鈴木光司先生の対照的なエピソード。いいシナリオを書いても、映像にならないことがある、その理由等、現場の匂いが伝わってくるような興味深いお話の連続でした。

 中盤は、短編映画「学校の階段」と「貝ノ耳」の鑑賞。初めての短編映画体験! とワクワクする人、シナリオと映像の違いに驚く人、ラストシーンに涙する人……フィルムの中にも会場にもドラマがありました。

 後半は質問コーナー。丁寧に具体的にお答えくださったことが印象的でした。「いいセリフを書くコツは、聞き上手になること」「自分が感動した作品のみ、追及、分析するほうがいい」「ジャンルや思い、書くものは人によって違う。それを『しめた!』と思えばいい。みんなと違うところに自分の目標があるのだから」 

 映画の素晴らしさとシナリオの大切さをしっかり学べた二時間でした。

参加された方々のお声
・シナリオセンターに通ってまだ少しですが、週一の授業+αのものを本日再確認できたような気がして良かったです。「貝ノ耳」ラストの方、少し泣きそうになりました。

・「伊参スタジオ映画祭」の事が解ったので参加してよかったです。もっと勉強をして、坂井先生にシナリオを読んでもらいたいと思いました。また機会があれば参加したいです。

・実際の現場を知ってらっしゃる杉田監督のお話。自分の頭の中のイメージだけで考えていましたが、リアルな生の声(お話)を伝えて頂き、とても参考になりました。貴重な体験の場を与えて頂き、ありがとうございました。

・シナリオの自由さを強く推されていて、少しルールや規則通りに書こうとしていた自分は、シナリオに対する発想の幅を広げる機会を頂けました。

・先生のお話しぶり、個性があっておもしろかった。何かしら、文字には出来ないが、「何か」を感じた。それが得られてよかった。

・「シナリオは“自由”と“冒険”の翼を両方持たないと書けない」の言葉が残りました。

・短いシナリオが映像になる時のイメージが分かりました。特に「学校の階段」の一編づつの短さと、ドラマチックさはショックなほどです。「貝ノ耳」も拝見できてよかったです。ラストシーンでとってもホッとしました。なんだか救われた気分です。初めてこの「放課後倶楽部」に参加してみましたが、やはりとても刺激的でした。また来たいと思います。

・短編映画を観たことがなかったので、とても興味深くおもしろかったです。「貝ノ耳」、音楽がきれいでした。セリフのない映画も初めてだったので、シナリオが読みたくなりましたし、もう一度観て分析もしたいです。

映画「貝ノ耳」より

・映画の中に、今、自分の前で話されている方が出ているのが不思議でした。全くセリフのない映画は初めてなのですが、特に違和感はなかったような・・・。鰐淵さんの存在感もすごかったです。バイオリンの音が聴こえたような気がしました。
・とても良い映像を観る事が出来ました。今日はお誘い頂き、ありがとうございました。映像にしても小説にしても、どんな内容であっても、伝えられる思いは一つなのだと思います。どんなにバカやっても、「忠」の一本が通っていれば、良い物が作れると信じているので、これからも、それだけは見失わぬように描いていきたいと思いました。

・「貝ノ耳」の映画を観てみたいと思っていたので、今日観ることが出来て良かったです。

・大変参考になりました。今後のシナリオ作りに生かしていこうと思います。

・短編映画、興味深かったです。やっぱり情熱が必要だと感じました。ありがとうございました。

・「左に自由な心、右に冒険心」……いいですね。

・勉強になりました。はじめに映像がある、ということに気づかされました。

・実際に映画を作られている方の声は尊いです。一言一言が。


・私はまだ基礎講座を受けているので、右も左もわからない状態ですが、映画ってどんな風に作られているんだろう?と思い参加しました。今回は短編を3本観ましたが、シナリオの題材は特別な体験物ではなく、日常にたくさんコロがっているんだろうなぁと思いました。貴重な体験となりました。有難うございました。

・「学校の階段」の卒業編に感動しました。青春時代に誰でも体験することを、今さらながらに見せつけられたという感じで、こういうことが大切なんだと思いました。(短くても感動する……というか) 先生への質問の答えも、随分参考になりました。これからの活動に活かしていきたいと思います。