第13回放課後倶楽部 平成16年6月26日(土曜日)
女性の為の法律相談から見える 
「現代の結婚と離婚」

中村留美 氏

  中村 留美(なかむら るみ)先生プロフィール

皿そばで有名な兵庫県出石町の出身です。京都大学法学部卒業後、兵庫県庁勤務を経て、平成2年兵庫県弁護士会にて弁護士登録をしました。以来、神戸法律事務所に勤務しています。事務所の陣容は、弁護士5人事務員4人です。神戸という中堅都市においては、弁護士事務所が専門分野で特化することは難しく、当事務所においても、依頼事件は刑事・少年から民事・家事・商事・行政・倒産処理等あらゆる分野に及びますが、女性は家庭の問題を相談する際には、女性弁護士に依頼することを好む傾向にあることや、10年前より、神戸市の「女性の為の法律相談」の専門相談員をしている関係から、他の弁護士に比して、離婚事件等女性を巡る問題を扱う比重が高くなっています。「女性の為の法律相談」の相談者は当然全員女性です。その相談事例から、現在、女性がどのような意識を持ち、どのような問題で悩み法律相談を訪れているのか、そしてその問題にどのように対処しようとしているのか等につき、お話をさせていただきたいと思います。あわせて、日頃あまり接することのない弁護士、特に女性弁護士の仕事・意識について、お話をさせていただきます。

▼講義内容
@弁護士という仕事 
A女性弁護士という立場・その仕事
B「女性の為の法律相談」を訪れる人々……あふれる離婚相談
C結婚歴の浅い人の離婚相談・中期結婚歴の人の離婚相談・熟年者の離婚相談 
D離婚に対する意識の変化 
E離婚への対処法


講義内容
 「ここ数年、『女性の為の法律相談』の全ての相談が離婚問題です」----専門相談員をなさっている弁護士、中村留美先生のご講義では、離婚の原因でもある夫婦の意識の違いをしっかりと取材させていただきました。

 「社会、経済力を放棄して、男性に頼っているよう。生きがいが感じられない」。そんな専業主婦の悩みを理解しようとしない夫は、「誰のおかげで食べていけるんだ」「家のことばかりで社会性がない」「僕の妻になれて、子供も産めて嬉しいだろ」等の無神経な発言。

 また、完璧な家事ができず、だからといって、専業主婦にはなりたくないと悩む、仕事を持つ妻に対しては、「家が汚い!」「僕は、母性的でやすらげる人に惹かれるんだ」と、かなりキツイ発言があるとか。

 説得力のある例えに、云々と頷く女性参加者の姿も。が、女性側も結婚に対する見通しが甘く、何かを捨てる覚悟ができていなかったのでは……という、女性がハッとさせられるお言葉も。

 また、TVドラマの中では、依頼者と共に悩みましょう的な弁護士像ですが、実際は、勝つ手段を教え、離婚相談の場合、離婚する、しないの決意は自分でしてもらうそうです。「法律相談は人生相談ではないので、人生にまでは踏みこみません」とのこと。

 その他、相談料の事、嫌われる相談者のタイプ、忘れがたい事件等、豊富な内容でした。
 弁護士、法廷、夫婦ドラマ。いろんなジャンルのネタが盛り沢山! そんな二時間でした。

参加された方々のお声
・「弁護士」という職業を簡単なイメージでとらえているだけでしたが、生の声を聞かせていただいて少し身近に感じることができました。「現代の結婚と離婚」に関しては、以前に携わった仕事柄、大変うなずく事が多かったです。弁護士の方からの視点を伺うことができたのは、とても興味深かったです。
・女性の生き方というのは既婚でも、未婚でもどんな立場でも葛藤があることがわかり、生き方のしるべにもなった。

・専業主婦と働く女性のそれぞれの事情と心情はとても面白かったです。心に残ったのは結婚することで失ってしまうものがある、その覚悟というところでした。意外に思ったのは弁護士さんは人生相談はしない、説教をたれないというところ。テレビドラマでは説教をする場面がみられるからです。弁護士の私情をはさまないというスタンスとはうらはらに、取り扱うものが人間の複雑な心情をはらんだものであることに、ある種ドラマがあるのではと思いました。

・私も結婚をして仕事もしているので、そうだ、そうだと思う所がたくさんありました。弁護士さんでも、家の中がちらかってると聞いて安心しました。(スーパーウーマンはいない)

・男尊女卑観はやはり根深く、男性はもちろん、女性にも潜在的に理想像としており、現実の結婚生活をしていくうちに、お互いへの自分の思い込みが崩れると同時に顔を出してくるように思います。人と人とが一緒に生きていくのは本当に難しいのだなと感じました。

・「離婚」「結婚」「女性の生き方」、本当、楽しかったです。形に当てはまった生き方じゃなくて、いろんな生き方があるなと思いました。正直、世の男性にきかせたい話でした。

・とても興味深く勉強になりました。いっぺんで先生のファンになりました。昔も今も、主婦の抱く悩み、生き方への模索は同じなんだなぁと思いました。今日の話を今後のシナリオに活かしたいと思います。

・法律は大人の学問と言われたことが心に残りました。人間というのは倫理、道徳を法律という型にはめようとその枠からはみ出そうとするものですね。男性であるというだけで示す態度の数々は男性と女性とは異人類と思いました。又、マスメディアの弁護士像と実際に従事なさっている方との違いが判りました。

・「なんとなく」京大法学部に入って「意識が低い」まま弁護士になられた先生の自然体で無理しない話が面白かったです。


・女性にくらべて、確かに男性の生き方は変わってないなと思いました。

・可能性があると人間は失う覚悟がしにくいのだなと思いました。

・私もいろいろ悩んだりしますが、多くの女性がそうなんだと、今日お話を聞いて思いました。
・勉強になりました。質問にも答えて頂けたので良かったです。シナリオへの活用とは別に、女性の生き方のお話、とても共感できました。自分も共働きをしているので、この先、悩みは尽きません。(子供ができた時にどうする?etc)ちなみに私の理想は“プチキャリア”でしょうか。

・結婚にも離婚にも覚悟が必要なんだなぁと思いました。