第11回放課後倶楽部 平成16年4月24日(土曜日)
 〜オモニの嘆き 演じ続けて30年 熱き想いを演じて語る〜
「宇宙全てが師匠」

新屋 英子氏


  新屋英子(しんや えいこ)氏プロフィール


新屋英子氏
新屋英子 氏

1928年6月9日・大阪市北区末広町1番地で生まれる。(昭和3年6月9日生まれで、さぶろくのかぶ)/1952年・制作座入団/1957年・劇団関西芸術座創立メンバー/1973年4月29日・ひとり芝居「身世打鈴」初演。

○ひとり芝居「身世打鈴」は千九百回を越え、中国北京、韓国木浦で公演。「チョゴリの被爆者」は韓国でも公演。ひとり芝居全舞台はすでに二千八百回上演。○怒りと哄笑の判差別ドラマ「ヒミコ伝説」、真宗の中興の祖、蓮如を描いた「わたしの蓮如さん」も大好評で全国巡演。また、三人芝居「星の溜息」も各地を巡演。○老人介護をテーマにした二人芝居「鞍馬天女」、沖縄の戦前・戦後をテーマにした最新作の二人芝居「星砂−オキナワ」も熱い共感を呼んでいる。○テレビ朝日「徹子の部屋」・MBS「関西戦後五十年特集」に出演。○松竹百周年記念映画、山田洋次監督「学校」に出演。○NHKドラマスペシャル「雪」・「山頭火」に出演。モンテカルロ国際テレビ大賞受賞。
▼主な舞台・映画・テレビ

【舞台】チエホフ「三人姉妹」椎名麟三「第三の証言」山代巴原作「荷車の歌」鶉野昭彦「幻列車」「星の溜息」野上弥生子「藤戸」「従兄弟の母」「朝まで…」他多数。
【映画】斎藤耕一監督「旅の重さ」金秀吉監督「アース」羽仁進監督「手をつなぐ子ら」大島渚監督「愛の亡霊」十河壮吉監督「こけし物語」山田洋次監督「学校」辻井康一監督「大阪大空襲」阪本順治監督「ぼくんち」犬童一心監督「ジョゼと虎と魚たち」他多数。
【テレビ】NHKドラマスペシャル「李君の明日」連続テレビ小説「やんちゃくれ」MBS「2時のワイドショー・嫁と姑」ドキュメント「朝鮮人従軍慰安婦」NTVドキュメント「沖縄・滝子の旗」「大気汚染」「報道被害」他多数。
【ひとり芝居】「身世打鈴」「ヒミコ伝説」「チョゴリを着た被爆者」「章ちゃんの青空」「わたしの蓮如さん」「燕よ、あの人に伝えてよ」
【脚色】「姥ざかり」「姥ときめき」「すべってころんで」「中年ちゃらんぽらん」/田辺聖子「龍の子太郎」松谷みよこ他。

▼主な受賞歴と著書
「身世打鈴」を演じられる新屋先生

・「荷車の歌」で大阪府民賞。「藤戸」で大阪府・大阪市文化祭賞。
・著書「身世打鈴」(手鞠文庫)「演じつづけて」(開放出版社)

▼劇団 野火の会ホームページ

http://homepage3.nifty.com/nobinokai/


▼当日の内容

@ ひとり芝居「身世打鈴」(シンセタリョン)観劇
A 青春時代の演劇生活
B 映画「ぼくんち」阪本順治監督・「ジョゼと虎と魚たち」
  犬童一心監督・「学校」山田洋次監督の出演余話。


講義内容
 いつもの放課後倶楽部とは、ガラリと赴きを変えて、教室は芝居小屋に。前半は一人芝居身世打鈴≠フ観劇。後半は講義。二倍楽しく内容濃く学びました。

「いつか抱腹絶倒の大喜劇をやりたい」と語られる新屋英子先生。講演は、随所で参加者を笑わせながらの楽しいものでした。
 初めに「私たちに必要欠くべからざるもの」という笑い≠ノ関して、その意義や難しさに加え、実際の舞台でのエピソードなどお話された後、参加者にも「是非研究してほしい」と。来年二千回目を迎える代表作、一人芝居身世打鈴≠ノついては、生まれたきっかけや一人芝居の難しさや醍醐味、小さな喫茶店で上演したのを機に要望があって回を重ねていった経緯などを、一人芝居ならではの観客とのエピソードも交えて。「在日」「社会に一撃を加える」「死刑廃止」などの言葉も出て、社会的視点をも感じられる内容でした。また、演じることの難しさや楽しみについては「人を引きつけるには?」「人間をみつめることにつながる」「人生をいくつも生きられる」などライターにもつながるところの多い内容が印象的でした。

 その他、国内外を問わず感動された映画、中でも本・演出・役者の三拍子そろった映画のすばらしさや、最近出演された映画でのエピソード、また、役者人生につながる、芝居などに親しんでこられた半生について、新屋先生ならではのその場の空気が伝わるような口調でお話下さり、アッという間に過ぎた2時間でした。

参加された方々のお声
・いつの間にか芝居ということを忘れて観ていました。シナリオを書きたいと思ったのは「喜劇」を描いて人を笑わせたいと思ったことがきっかけだったことを改めて思い出しました。

・おしばいは主人公の人生が目にうかぶようで、とても感動しました。又、お話の中で「笑いは批判の精神」と言われたことはシナリオを書く時にずっと忘れずに心にとどめておかなければいけないと思いました。

・長きにわたって演じてこられた作品を真近で見せていただく機会に出会えて最高に嬉しかったです。表現者として生きてこられた人生が一挙手一投足にうつし出されて、素晴らしかったです。

・30年以上演じつづけられて今も変わりつづけてること、生きたお芝居であること、拉致≠ニ聞いた時にあっ!≠ニ思いました。戦争も差別も全然知ることないけれども、今日また人間≠描くこと、楽しみに思えました。

・頭で作り上げる本と、演じる間みたいなものの違いが一番参考になりました。身近に見られて良かったです。

・以前から1度、みせていただきたいと思っていました。念願がかない、とてもうれしいです。S.42年に岡山から出てきて、大阪でそれも生野区の田島小で7年間働きました。その後、S.64年から西成区で働き、又最近も生野区で働くことがあり、今日のお話がとっても身にしみました。何かとても、うれしくて、今日、私なりに答えをいただいたような気になりました。

・人間の一生、平凡な一生の中に色んなことがあって複雑な思いがあるんだということを改めて実感しました。シンプルな言葉の中にある本当のことを書けるようになりたいな、と強く思いました。

・「喜劇」がやりたい、笑顔が大切、という信念がよく伝わりました。「国」「国籍」「国境」等という「くくり」でなく、個々の人間が生きたいように生きれる社会が来ればよい、と思いますし、そんな社会になるよう自分も努力しよう、と思いました。

・「身世打鈴」、心を打たれました。こういう時代だからこそ、「戦争反対」のセリフが心に響きました。これからもお元気で素晴らしい芝居を続けて下さい。

・お芝居について……人間の土台となるものは祖国でありその文化であり、それが生きるよりどころとなるものなのだとわかりました。それがあればたとえどんなに苦しいときでも、生きていけると思いました。それはだれにも取りあげられないのだと思いました。お話について……素顔の新屋先生はなんと魅力あふれる人だろうと本当に魅せられてしまいました。いつまでもお話をきいていたいと思いました。役作りについておききしていると、シナリオをつくるのに似ていると思いました。

・楽しんで仕事をすることは何とも素晴らしいことだと思いました。もっと話をききたかったです。

・演技の年輪を見させて頂きました。